桜の記憶
ずっと桜から感じていた違和感は、これだったのか。
てっきり、片桐にやられてしまうかもしれない不安を感じているのかと予想していたが、的が外れた。
むしろ、そちらに対する不安が無さすぎることが心配になってくるくらいだが。
「それは仕方ねぇだろ。つか、記憶を戻せて元の世界に帰る方法がわかったとしても、それですぐお別れになるなんて言いきれるか?」
ぽりぽりと頭を掻きながら、俺は嘆息する。
「自分でも言ったよな? この世界に来た目的も思い出せないとかなんとか。てことは、記憶が戻ってもその目的を果たすまではこっちに居座ることになる場合もあり得るんじゃないのか?」
「ん……、それは確かに」
一理あるな、という風に桜は頷く。
「それに、こうして今ここにお前がいるってことは、またいつでもこっちに来れる可能性もあるってわけだ。だから、そんな複雑な顔する必要はないと思うぞ。って言うより……」
そこで、俺は一度言葉を止めて桜の顔をまじまじと見つめた。
「ん? 何?」
そんな俺を、悪魔少女は不思議そうに見つめ返す。
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