桜の記憶
部屋に入り私服に着替え、鼻から息を吐きつつ椅子へと座り込む。
時刻はまだギリギリ正午前。
これが普段の休日ならば士気も高らかにゲームを起動させているところなのだが。
「……やっぱ、はっきりさせないと気分悪ぃな」
桜の件が頭にこびりつき、とても休日を満喫できる気分にはなれない。
とにかく、一度会って話をしておかなければ。
自分が何かを手伝うとか助けるというのは別として、桜が片桐とのやり取りをどう処理する決断をしたのか。
まずはそこを明確にしたい。
彼女が下そうとする最終的な判断。
それを本人から直接聞かせてもらわないと、落ち着けそうもない。
「……よし」
気持ちを固め、立ち上がる。
そして、スマホを手に取りまずは桜へ連絡を入れようとしたその矢先――。
家のインターホンが鳴った。
はーいという姉貴の声が僅かに聞こえる。
それから玄関先で何事かをやり取りするような気配を感じたが、生憎細かい部分は聞き取れなかった。
どうせ何かの集金か近所の人だろうと適当に見当をつけ、またスマホへ目を戻す。
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