桜の記憶
◆
俺たちの前に突如現れ桜の消えた記憶の原因を知ると示唆した男は、別れ際にそう名乗った。
異世界ではなく、俺と同じこの世界に住む“人間”であるにも関わらず、桜の能力に影響されることなく、異世界のモンスターを召喚し、原理のわからない方法で狼男を消滅させた得体が知れない謎の男。
いったい、奴が何を企んでいるのかは今のところ検討もつかないが、桜にとってはかなり重要な人物であることだけは間違いなさそうだった。
「……」
枕元の時計は、既に朝と呼べる時間を刻み終え、今は十一時二十分を表示している。
昨夜、あれから家に戻ったのは二十三時半を少し過ぎた頃。
つまりちょうど半日前。
寝る前にシャワーでも浴びようかと思ったが、さすがにそんな精神的余裕はなくすぐにベッドへ倒れ込んだ。
それから、寝つくまでに費やした時間はどれくらいだったか。
最後に携帯を確認した時で午前三時を回っていたのを覚えているから、最低四時間はぼんやりと天井を見つめていたことになる。
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