桜の記憶
先程と同様、異様に熱を帯びた体温が頭の中に伝わってきた。
「……
「――は?」
突然、無表情に淡々と話し出した少女の台詞。
それは、紛れもなく自分の個人的な情報だった。
「嫌いな食べ物は梅干しとひじき。理由は、どっちも小さい頃に食べて嘔吐したことがあるから」
「ちょ、ちょい待った! 何できみがそんなこと知ってんだよ? 俺たち初対面だよな?」
頭に触れる手を咄嗟に払いのけ、俺は戸惑いながらもう一度少女の姿をまじまじと眺める。
すると彼女は目を細めながらニヤリと笑い、たった今払いのけた手を目の前で広げてみせた。
「あなたの記憶を直接読んだだけよ。これがあたしの能力。この世界の言葉も、さっきあなたを引き倒したときに記憶をコピーさせてもらっただけ」
「コピー? 俺の記憶から言葉を覚えたってのか?」
「そういうこと。あ、でも安心して。余計な副作用とかは一切ないし、読み取った記憶も必要最低限の内容だけだから」
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