第86話 お忍び

屋敷の改修工事が終わり報告を受けたセバスチャンは次の日に屋敷の様子を確認に行く。ダイジンとジャスミンを連れて屋敷内を確認するとその足で王都内で一番品揃えがいい家具屋ミドル商店に向かう


「屋敷の調度品はどうされますかセバスチャン様」とダイジンが訪ねて来たので


「基本、公爵邸と似た様な調度品でいいかな?私自身が暮らしてきた屋敷なので落ち着くから余り変える気がしないのだよ」と答えるとジャスミンから


「概ねそれでいいですが特に応接室はセバスチャン様の色を出された方が良いです。お披露目もありますのでセバスチャン様の目で調度品を選んで下さい」


「ありがとうジャスミン、なら早速選ぶとするかな」



そしてセバスチャンが選んだ調度品はロココ様式やアール・ヌーヴォー様式を取り入れられた物を購入した「本当は元の世界で使っていたアール・デコみたいな角ばったものが好きだけど屋敷の雰囲気に合わないからな」


そして何点かは品物が足りない為、至急作るとの事で支払いを済ませ商店を後にする



次の日、いつも通りに仕事を行い調教が終わると第三厩舎のスタッフに「今日は新しい屋敷の厩舎を見てイルメス馬具商会と打ち合わせをするから早く帰るけど急用がある時は本邸に来るように」と伝えて新しい屋敷に向かう



男爵邸に着くと門の前にエイダンが待っており「急かした様で申し訳ありません」と

エイダンから謝罪の言葉が来るがセバスチャンは「私が遅くなったのが悪いので気にしないで下さい」と話すとそのまま二人は屋敷裏の厩舎に向かい必要な物と放牧場の図面を見て柵の配置を決める。打ち合わせが済みエイダンを見送り屋敷内の確認を再度行っていると玄関から「バタン」と戸が開いた音がしたので玄関に向かうとそこにはリン王女殿下が侍女たちを連れて来ておりそれをみたセバスチャンは「

???」全く思い浮かばない様子でリン王女殿下に話しかける



「リン王女殿下、今日は如何されましたか?お披露目会はまだ先ですし何も無い屋敷に来られてどうされるのですか?」


セバスチャンの応対に対してリンは「あらセバスチャン、今日は私の家財道具の搬入と一緒に屋敷の見学に来たの。そう遠くない未来にこの屋敷で生活するのですから妻として理解するべきだと思うのですけど」



その言葉を聞いてセバスチャンは「リン王女殿下、私は貴族としては下位の男爵ですよ。リン王女殿下を妻に迎えるには爵位が足りません。何やら屋敷の内装に王妃様やリン王女殿下の思惑があるようですが婚姻が決まったら迎えますのでそれまでは自重して下さい」



「セバスチャン、貴方はもうすぐ伯爵になるから心配ないですわ」



「?????」


何も功績を挙げていないのに伯爵に叙爵なんておかしいとおもっているとリン王女殿下から「貴方が技術局と開発した蒸気機関の功績で伯爵になる事が決定しています。なので母上も仕度をしてもいいとお許しを頂きました」



「私は提案しただけで開発には参加していないので功績は技術局に与えるべきではないですか?」



「陛下が決めた事なので覆る事は無いですよセバスチャン。今後は買い入れた馬の調教と競馬の発展に尽くして下さい」



「・・・・・畏まりましたリン王女殿下・・・」



そしてリン王女殿下の家財道具は屋敷内で一際広いピンク色で統一された部屋に運び込まれるのであった


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