第84話 お説教と担当者

セバスチャンはフューチャーシップに乗らずに引き運動をしながら坂路コースから第三厩舎までの道のりを帰って行った。セバスチャンは時折フューチャーシップに声を掛けながら何をするでは無いが黙々と歩いていた。途中、迎えに来たミシェルが「補助をしますのでフューチャーシップに乗って帰りましょうセバスチャン様」

と言ってきたので「今回の事でフューチャーシップと人間の信頼が崩れ掛けているから悪いがその提案は却下だ。付き合う事は無い、早く戻り作業を行う様に」


「畏まりました」


ミシェルは先に厩舎に戻っていった


「本当に済まないなフューチャーシップ。まだ私以外を乗せるつもりは全くない。今後は君を世話する担当を決めるから心配するな。そして攻め馬は必ず私が乗るから今回の事は勘弁してな」


「ブルッブルル」


「納得したのかな?先程より機嫌がいいぞ。このまま帰り着いたら王妃様にお説教だね。幸い怪我はしてないとの事だからみっちり練習させようかな・・・・・」



帰り道で今後の事を考えながら一時間以上かけて漸く第三厩舎に戻って来たセバスチャンとフューチャーシップはまずフューチャーシップを洗い場に連れて行き手綱を柵に結び準備を行う。そして作業中の全員を呼び新しく増えた馬の担当を決めているので発表を行う。


「最後にフューチャーシップはミアンが担当だ。調教は私が担当で行くので各自担当になった馬の世話をしっかり頼むぞ。国の未来に繋がるからな」



「「「「「畏まりましたセバスチャン様」」」」」



「ミアン、この場に残って欲しい。フューチャーシップの説明をするから」


「はいセバスチャン様」


セバスチャンはミアンにフューチャーシップに対する注意点を説明していく。必ず一番に馬房から出す、出せない時には馬房を閉じて外を見えない様にする。飼い葉、水も最初に与える事。新しく来た十頭とは格付けが出来ていてフューチャーシップはNo,1だと言う事を。背然とした態度で臨めは言う事をしっかり聞く。馴れ馴れしい態度で世話をすると嫌がれ反抗される事を注意する。最後に絶対、セバスチャンの許可なくフューチャーシップに他人を乗せない事。幾ら陛下、王妃様でも乗る時には絶対セバスチャンに連絡して立ち合いの元行うのでと念を押して伝える



ミアンは実家が宿屋でその辺りの注意事項を一度伝えればしっかりこなすので今後は問題は少なくなっていくと思う。そしてアーサー近衛騎士団長の所に向い、今朝の

件を話すと既に伝わっており苦笑いをしていた。そして今から王妃様の所に向うと伝えると「しっかり頼むぞ」と言われセバスチャンも苦笑いするしかなかった



セバスチャンは王妃宮に着くと声を掛ける事無く侍女が現れ「王妃様がお待ちです」と言われ王妃様の部屋に案内される


「王妃様、セバスチャン男爵をお連れしました」


「入れ」


王妃様の部屋に通されるとそこは寝室のようでガウン姿の王妃様が陛下、バルト宰相とソファーに座り話しをしていた。セバスチャンはソファーから約二メートルの距離で片膝を付いて挨拶を行う


「只今、フューチャーシップを捕獲して戻りました。荒れており人を乗せる様な雰囲気で無かったので歩いて帰りましたので報告が遅くなりました」


セバスチャンはありのまま話し伝える。それを聞いた陛下は「何故、人が乗って暴れだすような調教を行っているのだ!怠慢ではないか男爵よ」


全ての責任は躾けを行っていないセバスチャンが悪いと取れるニュアンスだったのでそこは素直に謝罪する


「偏に私の指導不足故に起きた事故ですので来る前に新しい馬に専属の担当者を決めて指導法を改めて注意してきましたので今度は事故は無くなっていきますので」


直ぐに手を打ったセバスチャンの言葉に一応納得された陛下とバルト宰相は一先ず話を終える


そしてセバスチャンは満を持して王妃様に話し出す「王妃様、大きな怪我が無く良かったです。しかし私はお披露目会の時に話しましたが私が居る時にフューチャーシップに乗るのはいいと伝えていましたが約束を破りスタッフしかいない時間に来てましては香水を付けて乗馬しようとしたとは振り落とされたのは当然だと思います。香水の様な匂いは馬にとっては不快な匂いですので嗅覚も優れていて世話するスタッフも限定しているフューチャーシップに乗るとは自殺行為です。フューチャーシップに限らず今後馬に乗る時には香水の類は絶対に付けないように。いいですね!後、そこまでフューチャーシップに乗りたいのであるならしっかりとトレーニングをしてもらいます。私が毎日行っているトレーニングを午後から行いたいのですがバルト宰相、王妃様のスケジュールはどうでしょうか?」



「問題ないですのでしっかりトレーニングして下さい」話す宰相の口元が少し笑っていたのは気のせいか?



そして午後から王妃様はパンコ、ミネラル、ライアン、ミシェルが恐縮する中、騎手のトレーニングを一緒に行う。それは柔軟体操からストレッチ、バランス運動に体幹トレーニングを終えた後、木馬でフォームの確認、修正を行い終わる頃には王妃様は息も絶え絶えな状態になっておりそれをみてセバスチャンは「王妃様、これから馬に乗って調教になります。王妃様にはプリンセスリンをお願いしたいのですが宜しいでしょうか?」



その問いかけに王妃様は「ち、ちょっとお花摘みに行ってきますので終わりましたら乗りますので・・・・・」


それから王妃様が戻って来たのはライアン達が一度目の調教を終えた後に戻って来て二頭目の準備をしているときに戻られて少し体力を回復した王妃様は何とかプリンセスリンの調教を終えて腰を擦りながら王妃宮に戻られた

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