第65話 先生の仕事は大変です

リーダー候補を集めた次の日、セバスチャンは各厩舎に今後の厩舎経営の変更の為に厩舎長の下にリーダー職を作りその下にスタッフが付く事を伝える。そしてリーダーになった者は研修後、他の厩舎に移動する事も伝える。第三厩舎は今までもアイゼンがリーダーとして動いていたので特に問題は無かったが第一、第二厩舎のスタッフには動揺が走り特にスーパァとションの顔色は青褪めていた。厩舎長二人には選ばれたリーダー候補二人は今後、午後から研修を受けるので作業が出来ないので人員不足の分を穴埋めする様に伝える



第三厩舎に帰り着くとセバスチャンはバルト宰相にお願いしていた黒板の取り付けを執務室の壁に大工が取り付ける。セバスチャンに和雄が転生してから執務室の不要な物を処分していたのでさながら教室の様になる


「学生気分に戻るな~。違うのは教わる側から教える側に変わった事か」


何時ものように独り言を呟きながら準備が終えると早めの昼食を済ませセバスチャンは並べた机の上に資料を置く。いつも普通に使っているが紙を作る技術は進んでおらずスマホで調べたが日本の江戸時代より進んでおらず先日も蒸気機関でお世話にになった王宮の技術局に行き和紙の製法を文面と絵にして伝えており今回使う紙も試作品である。印刷技術は活版印刷が進んでおり紙との相性も良く数多く印刷を刷る事が出来た


黒板に白いチョークで報連相を書いておく。仕事を行っている限り報告、連絡、相談は必ず必要な事でどれかが一つ抜けても駄目なので出来ていると思うが再度確認

の為にここからスタートする事にしてみた。準備が出来た所にアイゼンとライアンが入室してきて「セバスチャン様少し早いですが来ました」「空いている席に着いて待ってくれ」「「はい」」とやり取りを行っている間に次々とやってきて全員揃い

講習を行う



「全員揃ったので今からリーダー講習会を行う。私が講師役だが同時に皆と勉強をしていくので分かり辛い点もあるかと思うがよろしくお願いします」

「「「「「「よろしくお願いします」」」」」」


「今日は報連相を勉強します。報連相とは報告、連絡、相談の頭文字を取って報連相

と言います。報告と連絡の違いは分かりますか。アイゼン」


アイゼンはセバスチャンに振られたので少し考え答える「報告はあった事を纏めてから伝える事で連絡はその場で伝える事が連絡だと思います」

「ありがとうアイゼン。彼の言う通り報告は纏めてから伝える。連絡はあった事をその場で伝えるで間違えていません。ではパンコ、馬の蹄がひび割れましたが処置が出来ません、この場合は報告と連絡のどちらでしょうか?」

「はい、報告だと思います。」「パンコ、何故報告だと思いましたか?理由を述べて下さい」「はい。蹄のひび割れ位なら人間の爪と同じで時間が経てば生えて来るので

報告で十分だと思いました」パンコの答えを聞いてセバスチャンは生物学も取り入れて行かないといけない事を考えつつ返答する「状態にもよりますがひび割れの場合は連絡になります。少しのひび割れなら爪の乾燥防止の為に油を塗る事で様子を見ますが皆も知っていると思いますが馬の脚はデリケートです。蹄の奥には神経や血管がありこの部分が傷付くと最悪腐り馬の命を奪いかねません。厩舎の馬達は国王陛下からお預かりしている大切な物です。いざ戦争が起きれば騎馬隊の脚として戦場を駆けます」と話した所にセバスチャンは付け加える様に「皆さん今後、リーダー講習以外にも馬の勉強も行いますので大変でしょうが一から全員で頑張りましょう」




その後も皆の質問に答えながらセバスチャンは講師役をこなしていき夜の飼い葉付けの時間を過ぎたので「きょうの講習はここまでです。次回は明後日の午後から行いますので今回のまとめをレポートにして提出して下さい。紙は私の所にあるので帰る前に取りに来て下さい」


「えぇ~」と不満そうな声も聞こえたが全員、紙を受け取り執務室を後にする



「私の教え方にも問題があり時間が長くなったので次回は分かりやすく手短に出来る様に明日の夜までに対策しないとね」



人の居ない厩舎をセバスチャンは自身の馬に乗り屋敷に帰るのであった


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