第59話 ダイジンはと言うと・・・・・

ダイジンは焦っていた・・・・・十四歳でルクレール家にフットマン見習いとして

仮採用から早や十年経ち三年前にはバトラーに昇格して本家から領地へ移動になりルクレール家使用人の元締めモトコ様に鍛えられた所に一部貴族の粛清とセバスチャン様の男爵への叙爵が決まりセバスチャン様の屋敷でバトラーとして活躍する自分の姿を想像していたのにジャスミンと言う王妃様の筆頭侍女が来るとは予想外だった


「決まったものは仕方ない。出来る人間をアピールして男爵家にダイジンありと周囲に認めさせるまでだ。見てろジャスミン!」


ダイジンはコックのジョエルと燃料、食器、食材、酒類の確認を行い食材の発注をジョエルに任せる。朝食後にキッチンメイドが洗い終わった食器、シルバー類の磨き上げをフットマン達が行いルクレール家では殆どの食器は白で統一されており拭き上げた皿は棚にシミやクスミがある皿は漂白剤に付けて落とし再度洗いなおす。

また食器にヒビや欠けていたりした時にはダイジンに報告され基本処罰は無いが数が多いと厳しく処罰を行い物の大切さを教える。フォーク等のシルバー類は汚れを落とした後、温かいお湯に付け一本ずつ手触りを良い布でクスミが無い様に拭き上げる。他所の貴族が来た時に食器やシルバーが汚れていたらそれだけで家の格を貶める事になる大問題であるのでフットマン達は喋らず真剣に行う。通路にあるランプの燃料の確認を行っているとフットマンのソールトが作業完了の報告と確認をお願いに来たので手を止めて作業確認を行う。確認が済みフットマンの二人にはルイス様、セバスチャン様の靴磨きを指示していたので二人は直ぐにシューズクロークに向かおうとしていたのでダイジンは二人に「自分の靴をよく見て見ろ」と伝え二人は靴を見ると汚れていたので「「忠告ありがとうございます」」と元気よく返事をした後、晴天の中靴磨きを行う


「俺もこんな時期があったよな」ダイジンはとある男爵家の五男で継げる家も無かったので兎に角勉強と剣術は家庭教師の指導で勉強して十二歳で学院に入学してからは使用人としてのスキルが高い事が判明したので騎士科から執事科に転属になり十六歳の卒業時にルクレール家に本採用され八年が経ちフットマンからバトラーに昇格した。それなりに欲がありターシャ様の後の家令に俺はなるんだと業務で失敗した後などには反省をしながら目標を口にして再度仕事を行う。


ルクレール公爵家邸は三階建てで一階はホール、サロン、食堂、ルイス様の執務室、

ターシャ様の部屋があり二階は御夫妻の部屋、エリータ様、セバスチャン様の部屋

、セバスチャン様の仮執務室、客間が三部屋ある。三階は使用人の部屋で半天井裏

の様な部屋だが個室を与えられているのは一階のターシャと三階のダイジンだけで

後の者は二人又は四人一部屋で過ごしている。

一階、二階の廊下はランプが多く配置されているので補充も大変だが三階は使用人

達のフロアなのでランプは一,二階の1/3の配置になっていて三階はフットマン達の仕事である。一,二階は公爵様やお客様のフロアなので就寝されるまでは明々と照らしておりダイジンが就寝前に鍵の確認を行いながらランプを消していく。これは

使用人トップであるターシャの仕事なのだがセバスチャンの屋敷に移動になる為に

覚えている所だ。必ず点検後はターシャの所に行き報告してから休む。ターシャも

教える為に最後まで確認を行い間違いがあればその場で指摘、注意を行う。そろそろ慣れてミスをする頃なのでダイジンの性格を把握しているターシャは新しい屋敷の見学に行っている間に引っ掛け問題を準備しておこうとジャスミンと話しながら考える


お昼が過ぎセバスチャンが帰って来たので前もって準備していた馬車にセバスチャン、ダイジン、ジャスミンの三名が乗りセバスチャン邸に向かう

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