第54話 トレーニングセンター建設に向けて

王妃宮に着くと門番に伝え案内役の侍女が来るのを待つ。セバスチャンはスマホを見ながら某トレーニングセンターを見本にした施設の設計図を作成したので建設許可を貰う為の参内である。少し待つと侍女が来て何時ものサロンに案内される



「セバスチャン待たせたな!」部屋に入って来たと思うと大声で挨拶してくるのは

この国の王妃様、ダイアナ王妃である。因みにうちの母上の妹でもある

立ち上がり右腕を胸にかざし一礼すると「面を上げよ堅苦しいのは面倒だ」


王妃様が座ったのを確認後セバスチャンも座ると王妃様から「今日は何様かなセバスチャン?まだ其方の爵位ではリンはやれんぞ」と冷やかされるので

「王妃様、今日は別件です。その時が来たら正式に申し込みに来ますので!」


「揶揄って悪かった!それで今日の用件は何かな?」


「はい。坂路コースに続く調教コースの新設を計画しておりましてその為に第一、第二厩舎の間の平地を開拓して競走馬の調教コースを作り馬に合った調教を施しより強い馬を作りたいと考えています。こちらが設計図です」



セバスチャンは持参した設計図を王妃様に見せて反応を伺う。「ほぉ~坂路コース以外にも競馬場と同じ一周回るコースを三つ作るのじゃな。それでその理由は何故かな?」

「はい王妃様、坂路コースは腰が緩い馬には坂道を上るがとてもキツく腰に疲れが溜り故障の原因にもなります。その為に三つの周回コースを作る計画を立て力を付ける為に土と砂を混ぜたダートコースと言う力のいる場馬と足元に不安がある馬には生産が始まりましたウッドチップを敷き詰めたウッドチップコース、最後に競馬出走前に軽く走らせたり馬に芝の感覚を掴ませる為の芝コースの三種類を大外に芝コース、真ん中はウッドチップコース、最内にはダートコースを建設して馬に合わせた調教を行い強くしていきたいと思います。現在はここまでですがまだ構想段階の設備もありますのでまずはこの調教コース建設の許可を国王様にお願い致します」


「分かったセバスチャン。この件は確実に許可が下りると思うので心配するな。それとな各貴族から次回の競馬に自分の馬を参加させたい、王家の厩舎に馬を預けたいとの声が結構届いている。それに対してどう答えるか?」


「今回、私が統括厩舎長の拝命を受け新しい第三厩舎の長を選出中ですが実は第二厩舎のション殿の厩舎経営が少し怪しい点があるようですのでアーサー近衛騎士団長と話したのですがまずは第三厩舎長として採用、指導の間に第二厩舎の監査を行い裏が取れれば新しい第三厩舎長を第二厩舎に就任させる予定にしておりますが貴族の使用人不足と同じで管理者になれる者も不足しています」



「そうですね。コレーロス派の排除に新たな貴族の選出、領地の分配と王宮も大変です。資格を持つ者は少ないのですよセバスチャン。しかし埋もれている者を探すのも貴族の仕事ですので頑張って探して下さいね」


その後は紅茶を飲みながら競馬で披露したモンキースタイルの話になり、あの乗り方は普段使わない筋肉を使うので全体の筋肉を鍛える事と柔軟体操が必要で今のままでは王妃様は出来ないと伝えると「それでは私も次回の競馬に出るから教えるのじゃセバスチャン!」


「では、私のいる時間に第三厩舎に来て木馬で練習してみて下さい。あの乗り方がどれだけキツいのか分かりますので。取り敢えずイルメス馬具商会にも木馬を注文しておきますけどモンキースタイルを習得するのはいいですが筋肉がついてムキムキになるのは如何かとおもいますが・・・・・」


「私の身体を見るのは国王陛下と専属の侍女だけだから心配いらん!」


・・・・・どこまでも残念な王妃様である


王妃宮を退室した後、ウッドチップ製作所に寄りウッドチップの出来具合いを見る。流石に蒸気の力でバラバラにするので早く細かく出来ている。作る工程でおがくずが出るので寝藁が不足した時の為に湿気の少ない倉庫に保管しており寝藁変わり以外にも使えるので無駄にせず活用していく



第三厩舎に戻りアイゼンから報告を聞くとセバスチャンはイルメス馬具商会に行き打ち合わせを行うので今日は戻らない事を伝え厩舎を後にする





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