第49話 王妃様主催競馬⑥
王妃様が表彰式を行うとの声を皆が聞くと男性貴族は帽子を取りそれに合わせて
ご婦人方々も一礼を行いパドック内にいた貴族は片膝を付き頭を下げる
プリンセスリンに跨っていたセバスチャンも下馬して手に手綱を持ち周りに集まっていた第三厩舎のスタッフもセバスチャンに倣い片膝を付き頭を下げると王妃様より
「堅苦しいのは無しです皆さん面を上げて下さい」王妃様の一声で皆が面を上げ国王一家を見つめる
「この度の競馬開催にて新しい取り組みを行い成果を出した第三厩舎を称賛の拍手で称えて欲しい!」王妃様の一声で観客の貴族より拍手が起こる。その表情は様々で
本当に称賛して笑顔で拍手する者、苦虫顔でイヤイヤで拍手する者等と全く相手にしていなかった第三厩舎が勝った事に対する貴族の反応である
次に国王陛下からのお言葉が始まり「此度の競馬に於いてセバスチャン・ルクレール率いる第三厩舎の活躍は見事で尚且つ坂路コースと言う新しい馬を鍛える施設の建設に馬具、馬の乗り方の工夫と新しい物を発明した事に対しての評価を行い第三厩舎長セバスチャン・ルクレール騎士伯を男爵に叙する。また近衛騎士団とは別に統括厩舎長として第一、第二、第三厩舎全体の管理、馬、開発、人員の育成を行う様に。それに伴い新たな第三厩舎長の選出をアーサー近衛騎士団長、セバスチャン統括厩舎長の二人が人事を行い報告せよ。次にセバスチャンとは別に第三厩舎のスタッフには褒賞を与えるのでこれからも国の為に尽くせよ。最後に第一、第二厩舎長の二人は坂路コースが完成した時にセバスチャンから声が掛かったはずだが何故使用しなかった?新しい物を取り入れる気持ちが無いから今回の結果に繋がったのではないか?今まで同じ立場だったセバスチャンに使われる立場になって初めて気付くようでは後から来た者に追い越されるぞ!その事を頭に入れて業務に励め」
スーパァとションは頭を項垂れており国王陛下の言葉が重く圧し掛かっているように見える。技術はあるのだからこれからだと思う
競馬開催は王妃様が行っていたが人を見るのは国王陛下が行っていたようで感心して
しまう。陛下がいればキングダム王国はこれからも発展していくとセバスチャンは聞きながら思う
国王陛下のお言葉が終わるとセバスチャンに王妃様から優勝を称える黄金のカップを手渡され受け取ったセバスチャンは第三厩舎のスタッフ全員と一緒になってカップを掲げるとパドックの周りに集まっていた貴族から祝福の拍手と歓声が上がりスタッフ全員でそれに応える
優勝したプリンセスリンに金色の薔薇が刺繍された赤い馬服が着せられ表彰式をより盛り上げる中、最後に王妃様から一言あるとの事で貴族たちは静まり耳を傾ける
「此度の競馬を楽しんだと思うが皆よ自分の馬を走らせようと思わないか?今までの競馬は近衛騎士団の騎馬で行って来たが今後、娯楽を盛んにしたいので皆の馬で
競馬を行う予定です。自分で馬を鍛えても良し、王城の厩舎に預けてもよし、多くの
貴族で競馬を盛り上げたいのです。是非、皆に参加して欲しいので敷居は低くします。詳しくは統括厩舎長のセバスチャンが皆に書面で分かりやすくしますので少し
待つように」
「王妃様、いきなり難問押し付けたよ!王妃様は簡単に言われるけど考えるのは私ですよね・・・・・」
折角の表彰式で気持ちが高揚していた所を暗闇に落とされた気分になるセバスチャンだが「偉くなった分、仕事をしなさいと言う事ですね王妃様」
口にはしないがニッコリ微笑んでいる王妃様を見つめ少し恨めしい顔をするセバスチャンであった
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これで第一部終了です。閑話を二話挟み、次章からは馬の生産の話がメインになります。今回の競馬で走った馬は軍馬ですのでよりサラブレッドに近い馬が出て来ます。後、蒸気機関が完成して念願のウッドチップコースの完成で坂路コース、平坦馬場にもウッドチップコースが登場します。蒸気機関は閑話で書きますのでよろしくお願いします
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