第34話 家族が揃う
襲撃事件から三日後、晩餐会の案内が貴族に回ると母上の言う通り目線が消えた。
しかし油断は出来ないので一人での行動は避け厩舎の皆と一緒に動いた
「晩餐会が行われるそうですがセバスチャン様も出席されるのですか?」と
ミシェルが聞いて来たので「出たくないけど出る様に王妃様に命令されているよ」
「「「ご愁傷様です」」」
他のスタッフからも声がかかるが実際問題怖いのは母上と王妃様だから従うしかないのである
「晩餐会まで後、十日、競馬まで残り二十日なので坂路コースは一部を除き完成
したので仕上げを行って二日後から使用するのでライアン、ミシェルは私と明日、
コースの下見と仕上げに行くので
「「「「「畏まりました」」」」」
今日も全員で夜の飼い葉付けを行い急ぎ早で帰る
屋敷に帰り着くと見た事のある馬車が並んであり兄上達が帰って来た事が
直ぐに分る
「只今戻りました」
玄関を開けホールに入るとセバスチャンより長身の長男、ケビンが葉巻を
銜え嗜んでいた
「久しぶりだなセバスチャン。最近は仕事に精を出し母上にも認められているそうだな。お前が頑張れば俺も安心して父上の代わりが出来るからな」
ケビンと話していると後ろから二人の男女の声がしてきた
「セバスチャン、合わない間に随分逞しくなりましたね」
「セバスチャン、お前の活躍は妻から聞かされているぞ。何やら王妃様に目を掛けてもらっているらしいな」
声を掛けたのは次男のロマンと長女のダーリアである。二人は結婚してルクレール家から籍が外れているが何かあれば駆けつけてくるのである
「ロマン兄様、姉様、お久しぶりです。今日は皆、家族は連れて来てないのですね」
セバスチャンが話すと今日は家族だけの話しだから妻たちは抜きだとケビンが話し二人も頷く
エリータもホールに現れ兄弟全員でお互いの近況等を話しているとターシャがホールに来て「ルイス様がお戻りになりました」の一言で全員が話しを
止め一列に並ぶ。そして父上と母上がホールに入って来た
「堅苦しい挨拶は抜きだ!お前たち全員席に座れ」
低く澄み渡る声がホール内に響く。父ルイスの何ともない一言に全員が委縮
する
それぞれが自分の席に座ると母上から「今回は急の呼びかけに対し答えてくれてありがとう、感謝します。用件は手紙に記載していましたが詳しく話し
をしたいと思います。セバスチャン宜しく」
「今回の母上からの呼び出しの発端は私が王妃様主催の競馬の為に幾つかの
器具の開発と馬を鍛えるための訓練場の建設から発端になり一部の反ルクレール家の貴族の嫌がらせが度が過ぎ母上とビアンカ様を襲うと言う蛮行に及んだ為、王妃様に協力をお願いして今回の晩餐会の運びになりました」
セバスチャンが一連の流れを話すとケビンが「ルクレールの力が強い所に
王妃様からより信頼を受けているから他の貴族は目上のたんこぶが気に入らないと言う訳だな」
「うちの家と王家の関係を考えるとこれ以上力を与えたくないのが分かる
行動ですね」
ケビンとロマンがそれぞれ話すと父上が話し出す
「キングダムの貴族は王家に尽くし民を養う義務がある。それを忘れて自分の保身や欲望に任せ行動するなど貴族の風上にも置けない連中だ。今回は
ミカエルに任せてあるが皆も協力してくれ。いいな!」
「「「「「はい」」」」」
「ケビン達は家に戻らないといけないから話しは取り敢えず此処までにして
全員揃ったのだから食事にするぞ。ターシャ、準備はいいか」
「はい旦那様。準備は出来ておりますのでこれより運んでまいります」
父上の一言で話しが終わり久しぶりに賑やかな食事が行われる
食事が進むと父上から「セバスチャン、執務室で話しがあるので待っているぞ」
「畏まりました」
母上から目線が来たので何の話しかは見当がついた
「父上が敵になる事は無いと思うが・・・・・」
気を引き締めて執務室へ向かう
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