第19話 味方が多い方がいいと思います
教会から屋敷に戻ると玄関にエリータが佇んでいた
「お兄様、心配したのですよ。母上とビアンカ様と一緒に王妃様に謁見したから私
てっきりお兄様がお屋敷から追放されるとばかり思っておりもう二度と戻られないかと思い玄関で待っていれば帰って来るのかと考え待ちましたわ。でも母上がお戻りの際上機嫌でしたので心配ないかと思っておりましたわ」
エリータの話を聞いていると陰口を言われているようだがエリータなりに心配して
くれたのだなと思い「大丈夫だよ母上がそんな事をする訳ないではないか!仮に
そうなるなら今頃宿探しをしているよ。心配してくれてありがとうエリータ」
私から感謝の気持ちを伝えると嬉しそうにして一緒に屋敷の中に戻る
「ターシャ!今戻った。母上はどちらにおられるか?」
「ミカエル様はご主人様の執務室でお仕事をされています」と返事があり執務室
に紅茶を準備するように伝えエリータに「母上と話しがあるから後で食堂でゆっくり話をしよう」と約束をして執務室に向かう
ノックを行い「母上セバスチャンです。入ってよろしいでしょか?」
「入りなさい」と返事があり入室すると父上の机で膨大な書類に目を通す母の姿が
あった。母上からすぐに済むからソファーにかけていなさいと言われ座ると直ぐに
ターシャが紅茶を持ってきた事をみてアンナでは駄目だと理解して紅茶を飲みながら
母上が目の前に来るのを待つ
「待たせたわねセバスチャン。先程出来なかった話をしますかね。話す覚悟は出来て
いる様子ですね」
そこから一息付いてからセバスチャンは話し出した
「改めましてミカエル・ルクレール様、私は
とりあえず本当の名前と目的を話したが流石に半信半疑の様でもう一度同じ事を伝え
漸く納得したようである
「まだ信じられない所もあるのだけど貴方が元のセバスチャンでは無い事は十分に
理解したわ。でも面白い話ね、神様は何が望みなの?私としては脛かじりで女遊びしか出来ない三男が優良物件に変わったのだからそれだけでも十分なのだけど」
やはりミカエルはセバスチャンの女性関係を知っていたので逆に話しやすくなる
「ミカエル様、私も転生した時にはセバスチャンの女性関係には驚きました。当然
ご存じでしょうがリン王女殿下とミソラル・ハイクレア男爵令嬢とも同衾していますし人妻であるメリア侯爵夫人と関係があるのが表立つと公爵家が傾く心配がある
ので全員と円満に手を切りたいのです。今は神様からのお願いである競馬文化の
レベル上げに遣り甲斐を感じており女性とどうこうは全く考えておりません」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
長い沈黙の後、紅茶を一口飲んでからミカエルが話し始めた
「今の貴方なら信用出来るわ。特にメリア侯爵夫人とはお互いに関係が明るみに
なると不味いから関係解消は難しくないと思うわ。でも全員と手を切らなくてもいいのよ特にリンやミソラルはね。元々三人の内誰かにダイアナの子と一緒になって
欲しかったからいいしミソラルは幼い頃から見ていてエリータとも姉妹同然の付き合いだからね。でも結婚するなら最低伯爵にはならないとリンは降嫁出来ないから
今回の競馬で成功して実績を積んで欲しいわ」
ミカエルは信用出来るので今後は話を進めるのに自分の手持ちのカードを見せておく事は必要だと思いやはりセバスチャンの事を悪くは言っていたが心配ではあったようだ。
「ミカエル様、話が変な方向に行っている気がするのですが・・・・・兎に角私は
競馬文化を発展させる事が第一目標ですので結婚の話は一先ず置いておいてください。政略結婚等でリン王女殿下とは出来ない可能性だってある訳ですので。元の
世界で妻を持ち子供も居たのでミカエル様の気持ちも分からないではありませんが
兎に角競馬を栄えさせるとルクレール領の農業繁栄にも繋がりますのでご協力を
お願い致します」
「分ったわ。貴方の協力者としてサポートしましよう。なので今後も隠し事は無しで
お願いしますよセバスチャン」
返事をした後、ミカエル様は鈴でターシャを呼び夕食の準備をするように指示した後、セバスチャンに一言話した「ルイスと知り合う前に貴方と知り合っていたら私
貴方と結婚してたわ」
「冗談でもやめて下さいミカエル様。私はお二人が結婚したから生まれてきてこの世界に転生したのですから異性には見えません」
「でも昔のセバスチャンは何時も母上と結婚すると言っていたのに冷たいわ。昔の
女は飽きたのね」
とくだらなく恐ろしい話を終えた時、正直に「味方になってくれて良かった」と
胸をなでおろした
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