第16話 生きて出られるのだろうか
午前の作業が終わり皆に昼休憩を取らせていたら見覚えのある馬車が厩舎前に
止まり二人の女性が降りてくる
「セバスチャン、今からダイアナの所に行くから急いで準備しなさい」
馬車から降りてきたのはは母上とビアンカ様でセバスチャンを見ながら何とも悪い顔をしていて嫌な予感しかしなくいい気分になれない
「母上畏まりました。急いで準備しますので少しお待ちいただけますでしょうか」
母上とビアンカ様を少し待たせてしまったが着替え終わり厩舎から徒歩で王妃宮
に向かう途中、母上から一言「セバスチャン今日は早く帰りますよ。その後、私の
部屋まで来るように」と言われ心の中で「遂にこの時を迎えてしまうのか。予定より帰って来るのが早く何も整理出来なかったので仕方がない事だな」
事実上の死刑宣告を受け取った気分で王妃様に合うので気を引き締めていたはずなのに今は心ここに無い気分であった
王妃宮に到着、侍女に案内されて王妃様の待つサロンに向かうとご機嫌な王妃様が
待たれていた
「姉上お久しぶりです!一年位でしょうか一年益々美しさに磨きがかかり私も頑張っていますが姉上には及びませんわ!」
「言わせてもらうけどダイアナ、貴方は王妃ですよ。いくら私達が姉妹でも私は降嫁
した立場の公爵夫人ですから二人きりならいざ知らず公式の場では自身の立ち位置を考えた物言いをしないと駄目だと何度も話していますよね」
「失礼しました姉…ルクレール公爵夫人。ご忠告ありがとうございます」
いきなりの二人の話から始まったが毎回これが定番であってもはや茶番と言える位
である。二人の話(漫才?)が終わり漸く席に着き紅茶が配られた後、母上から
今回の内容を改めて王妃様に話すように促される
「王妃様、近衛騎士団第三厩舎長のセバスチャンです。この度は私の進言をお許し
頂き誠にありがとうございます。改めて今回の馬の調教施設建設ですが狙いは騎馬
の能力向上と能力の高い馬の選別、繁殖を行いより競馬に適した馬の生産とお金の
流通をより良くする事が目的です。その為に王妃様に第三厩舎の裏山を開発する許可
をお願いしたのですが何故こんな事になっているのか意味不明です」
そこに母上から声が掛かり「セバスチャンお前が開発資金を貴族から集める話を私とビアンカにしたからであろう」
確かにそうだが王妃様にどの様な伝わり方をしたのかが分からないので困っているのにもう一言母上から「この様な話は王家から出した方が良いから私が王妃様に連絡を行ったのだ。内容はいいが話の持っていく場所が間違えていないがアーサー殿の所に話す前に私に手紙を出せばもっと早く話が進んだのに」と言われてしまう
「私の立場ですとどうしてもアーサー近衛騎士団長に話すしかないですし、母上は
領地にいらっしゃるので直ぐには話が出来ないではないですか?」
一応母上は納得してくれ話が一段落した所で王妃様が話し出す
「この度のセバスチャンの提案には国王陛下も賛同しておられて私の主催で行う
行事でもありキングダム王国王妃主体で事業を貴族に通達して行います。ルクレール
公爵夫人、ハイクレア男爵夫人宜しいかな」
「「畏まりました王妃様」」
王妃様は予め文官に指示して作成させていた貴族宛の文章をセバスチャンに確認
させると侍女に文官への指示を行い同時に人払いして四人のみになる
「人払いも済んだので私の今日一番の本題を話すけどセバスチャン、リンが貴方に会いたがっているのだけど貴方達の関係は大丈夫よね?て言うより成人してからの貴方は好きにはなれなかったわ。それがここ一ヵ月位から人が変わった様に仕事を行い
部下を大事にする夜遊びをしなくなったなんて普通なら疑う所なのよね。ここは私人として聞くけど姉上、今のセバスチャンと話してどう思った?」
「悪いけど自分の子供と思わなかったわ。落ち着きすぎていてケビンやロマンより
しっかりしているのよね今のセバスチャンは。まるでルイスと話をしているみたいで
逆に気味が悪かったわ。聞くけど貴方、誰?セバスチャンではないよね」
全てを話すと問題以上になると思い自信を守る為に隠せない所は話して信頼してもらう事を考える
「確かに今までのセバスチャンではありません。お二人の疑問、他の方も同じ事を考えていると思います。今、言える事は今回の競馬を成功させる事を一番に考えて
おり今までの素行の悪い点は二度と行わないと誓います。競馬を成功させた折には
如何なる処罰を受けます」
セバスチャンの発言を聞き三人が其々話を行った
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