121, 5-10 謎のチートと例の呪文
前回のあらすじ
ブヒブヒ
簡易調理用の魔法具を使いスープを作る。
5本買ったので大量に作る。
ほぼ痴女銀狼が食べる。
魔法具テントを張る。
冒険者ならやっぱり野営とかするだろうとカナリッジで金貨20枚使い衝動買いしたものだ。
一度も使ったことはない。野営が必要な依頼はカナリッジにはなかった。
大抵は冒険者ギルドが発行している依頼ばかりで、たまにある手書きの依頼も『街の外の森に行きたいから護衛してくれ』とかその程度だ。
この大森林の調査とかなら野営も必要だろうが、そういう依頼は冒険者クランと商人が契約するので冒険者ギルドには関係ない。
商人が適当に冒険者ギルドへ依頼を出して、考えなしの冒険者が受けることもあるらしいが、カナリッジ周辺はな・・・。近くの森に特殊な素材など無いし、何を調査するのかという話だ。
金貨20枚と安かったのも誰も買わず売れ残っていたからだろう。
そんな完全に失敗だった衝動買いのテントが思わぬところで役に立った。
女達はテントに入り、俺は外で待機する。・・・見張りだ。
流石に全員寝て、というわけにはいかない。
テントは一つだし、男は俺だけだし、痴女銀狼が怖いし、そうなると俺が見張りになるしか無い。
双子エルフが反省したのか「交代しましょうか」と言ってきたが、痴女銀狼に襲われたくないので断った。
夜一人、光球の魔法をいくつか浮かべる。
俺は、衛兵が夜に街壁の上で夜行性の飛行型モンスターを監視するときに使う暗視の魔法や、遠くを見る望遠の魔法を使える。
使えるが、滅多に使わない。
魔力消費はなく使い方によっては便利だが、視覚能力をいじる魔法は戻した時の反動がひどい。
「お、モンスターが近づいてきたぞ」と魔法で発見して、視力を戻したらふらついて戦えない、なんて最悪だからだ。
魔力感知すればモンスターの位置など大体把握できるが、野生動物は魔力を持っていないので光球を浮かべている。
熊や虎、この世界特有の大型肉食獣が襲ってきたら怖い。
森に入ってからは集音の魔法を使っているので不意打ちされるような事はないだろうし、身体強化もしているので死ぬ事もないだろう。怖いだけだ。
そして、見張り中に考えるのはさっきの現象。
魔法を使ってくるモンスターに魔法をぶつけたことはあるが、あんな現象は起きたことない。
あれは何なのか・・・。チートなのか・・・?俺はチートを持っていたのか!?
エルフの魔法限定で消せるチート?
意味不明すぎる。
いや、そういえば俺はあの呪文を唱えたことがなかったな。
もしかしたら記憶がないだけで転生時に神と遭遇してなんてやり取りがあったのかもしれない。
エッチな女神様とエッチな事をしていたかもしれない。
とりあえず唱えてみる。
「ステータス」
・・・何も起こらない。ステータス画面が出てきてチートなんかの説明がわかったりしないのか。
まぁ、レベルがない世界だしな。そんなゲーム的なシステムは期待していなかった。
よくわからないが、使い所がない能力など深く考えても仕方ない。
チートに見切りをつけ、本を読んで暇を潰しているとガサゴソと音が。
テントからロリエルフが出てきた。
ロリエルフは目を
「ジョニー、おしっこ・・・」
(俺はおしっこではない)
まぁ、おしっこしたいと言っているのだろう。
俺は見張りだが、テントには痴女銀狼がいるからな。
多分大丈夫だろうとロリエルフに付き添う。
少し歩き、光球の魔法をいくつか浮かべてやる。
一人で出来るのか心配したが、ローブを上げはじめる。
大丈夫そうだと判断し離れようとすると―――。
「おい、お前!何をしている!!」
声がした方を向けば、イケメンエルフが怒りの形相でこちらを見ている。
ロリエルフはおしっこをしようとしている。
普人の俺は光球の魔法で辺りをよく見えるようにしている。
念のために言っておくが、俺は変態ではない。
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