078, 0-46 幕間・毒舌プリーストの巡礼

・エミリアの巡礼


前回のあらすじ

 脅迫じゃないかっ!



「だ、誰ですか?」

「私はエミリア、ジョニーの運命の相手です」

「ジョニーの?」

「そうです。そして、あなたがジョニーの運命の相手かを見極めます!」

「運命・・・」

「付いてくる気はありますか?」

「はい!」


アデラを連れてジョニーが泊まっていた部屋に入る。

最近ジョニーは借家に移ってしまった。

ジョニーの家の周囲で借家がないか探してみたけど、1軒もなかった。

だから代わりに、ジョニーが使っていた部屋に泊まる事にした。


感動した様子のアデラが言う。

「ここがジョニーの部屋・・・」

「そうです。最近までジョニーが暮らしていた部屋です。さあ、あなたの話を聞かせてください」


アデラは、村にいた頃のジョニーの話を聞かせてくれた。

「石を投げていたのは、きっとその頃から訓練をしていたのでしょう。冒険者になって人助けをするために・・・。流石、私のジョニーです」

「ジョニーすごい」

孤児院でよくお手伝いをしていたジョニーの話を聞く。

「村でも孤児院でもジョニーはお手伝いをしていたのですね。冒険者ギルドでも新人の面倒をよく見て、手引書まで作りました。流石、私のジョニーです」

「手引書?」

「冒険者ギルドの受付カウンターに置いてある無料の本です。あれはジョニーが作ったんですよ」

「ジョニーすごい」


アデラは素直でいい子だった。

(ジョニーの運命かもしれない)



私は素直なアデラを連れて、ジョニーとデートしたお店を紹介する。

「ここで私達はおそろいの魔法の袋を買ったのです」

「全部同じ袋―――」

「おそろいの袋を買ったのです」

「・・・・・・」


「この靴をジョニーは私に買ってくれました。男性が女性に靴を贈る・・・。特別なことです」

「冒険者用の―――」

「特別なことです」

「・・・・・・」


私はジョニーの借家までアデラを案内する。

「ここが今、ジョニーが住んでいる借家です」

「ジョニーに会いに来たんですか?」

「いいえ。ジョニーは忙しいので、少し様子を見て帰りましょう」

「・・・・・・」

借家の裏へ回り込むと窓があった。

「少し覗いてみましょう」

「覗きはよくないと思います・・・」

「こんな時の為に踏み台を用意してあります」

「・・・・・・」

(ジョニー、ジョニー、私のジョニー)

窓から覗くとジョニーはお風呂に入っていた。

ジョニーが採取依頼の時に採っていた植物を使って体を洗っている。

ジョニーが気づく前にサッと身を隠す。

「危ないところでした。アデラ、あなたは中々見どころが・・・。アデラ?」

アデラはいなくなっていた。

何か用事があったのかもしれない。



たまにアデラを見つけて話をするも、何か悩みがある様子でどこかへ行ってしまう。

お風呂の窓はカーテンを付けたのか、覗く事は出来なくなってしまった。



そして私とジョニーは16歳の誕生日を迎える。

ジョニーと結婚する年。

(ジョニー、ジョニー、私のジョニー)

私は今日も人助けをする。

運命のジョニーと結ばれるために。

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