第三章 冒険者ギルドと毒を吐く少女
047, 3-01 失われた希望
前回のあらすじ
くそっ、静まれ俺の闇よ!
封印されし闇に抗い、希望の光を目指し、地を駆け走る俺・・・。
しかし、神は俺を見放したのか、やっとの思いでたどり着いた冒険者ギルドには希望の光・・・エッチなお姉さんの姿が見えない。
以前、覗いた冒険者ギルドには、受付のお姉さんが5人いたはずだが、今の受付は3人しか居らず、男が2人、女が1人。
そして、男の受付には冒険者の列があるにも
女はなんだか、ギャルっぽい。
この街の服装は、基本的にシャツとズボンというシンプルな
長袖だったり半袖だったり、女性はスカートを履いていたりするが、ルービアス大陸は温暖なので、生地は薄く通気性は高い。
俺も、長袖の白いシャツに、赤茶の長ズボンだ。
聖職者や商人などは、なんだかファンタジー物の漫画やアニメで見たそれっぽい服装だが、冒険者ギルドの職員は、完全に前世のビジネススーツである。
これはやはり、冒険者ギルドを作ったのが異世界人だからだろう。
受付の女は、女性用スーツを着ている・・・着崩している・・・。
胸元が開き、ちょっとエッチだ。
それだけではない。
セミロングの髪の左右がピンク色で、それ以外の部分は黒だ。
この世界の人間は、いろんな髪色をしているが、髪を染めたりはしない。
だからなんだか、全体的にギャルっぽい。
俺は、包容力のあるエッチなお姉さんに癒やされたかった・・・。
しかし、ギャルもお姉さんか?
前世の記憶がある俺としては、同級生という感覚しかない。
妄想は湧いてこないが、話しかけてみれば、希望が見えるかもしれない。
期待を込めてギャルに話しかける俺。
「こんにちは、お姉さん。冒険者登録をしたいのですが、お願いできますか?」
相手は初対面の年上である。冒険者になるのなら、冒険者ギルドは職場、礼儀正しく話す。
しかし、俺のそんな配慮は無意味だった。
「は?えっ!私に言ってんの?なんでココに来んの?意味わかんないし・・・。ちょっとギルマスー、ギルマスってばー、なんか変な子来たんですけどー、私わかんないんですけどー」
(何だこの女・・・)
受付なのに受付の仕事をしないギャル。
ギャルのサボりに応え、奥の部屋からやって来たのは、どこか疲れた顔をしたスーツの男。
「ゴメンね。次からは隣の列に並んでくれるかい?今回は私が受付をしよう。この書類に名前と性別、年齢と誕生日、特技もあれば書いて下さい。年齢がわからない時は大体でいいです。字は書けますか?」
「はい、書けます」
俺は、必要事項を記入しながら考える。
(意味がわからん。何だこの状況は。この人、ギルドマスターだよな・・・)
新人で仕事を覚えていない部下を助けに来た、という感じではない。これは・・・あれだな・・・、コネ採用だな。解雇できないんだろう。
特技は、魔法、剣術、投石と書いておいた。石投げのジョニーだしな。
「書けました」
「では、少々お待ち下さい」
書類を持って奥の部屋に行くギルマス。待っている間にコネ採用のギャルを見る。
俺は別に、ギャルは嫌いではない。だが、こいつはなんか、無理だな。
希望の光、受付のお姉さんは消えてしまった・・・、と諦めた頃、ギルマスが戻ってくる。
「これがFランクの冒険者証です。Fランクは仮登録みたいなものですが、最低限の身分証としても使えます。再発行には銀貨が5枚、必要ですから、紛失には気をつけて下さい。酒場のカウンターに居る、義足のお爺さんが面倒を見てくれますから、とりあえずそっちに行ってください」
「わかりました。ありがとうございます」
冒険者証を受け取ると、ギルマスは「あー忙しい。ほんと忙しい」と言いながら帰っていく。
(なぜ酒場に・・・大丈夫か?このギルド・・・)
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