3.




 グラウンドには雪解け水が輝き、温かな春の薫りを滲ませて、三月がやってきました。


 今日というよき日に、私たち三年生一同は、無事卒業を迎えることができました。


 このように盛大な式典を催していただいたことに、感謝いたしております。


 また、校長先生、ご来賓の方々からいただいたご祝辞に、厚く御礼申し上げます。






 三年前、桜の華やかな色に希望を重ねた入学の日から、私たちはこの学校で濃密な時間を過ごしてきました。


 遠足や文化祭、体育祭、様々な行事を経るごとに、一人、また一人と友人が増えていきました。そうして仲を育んできたクラスメイトたちとは、勉強においても、時に競い、時に支え合いながら、共に邁進してきました。


 部活では日々上達していく楽しさを知り、涙が出るような悔しさも知りました。そして何より、思いをぶつけ合える仲間たちがいることの大切さを、知ることができました。


 いつも誰かと共に歩き、誰かのために足を踏み出す。

 この学校で流れた三年間という時間は、今からすれば、そんな思いの繋ぎ合いから成り立っていたように思えます。




 ご来場の保護者の方々、本日、私たちは新たな一歩を踏み出します。進学先で未知なる学問に取り組もうとする者、一足先に社会へ飛び立つ者、様々ですが、いずれにしても今後多くの険しい道が待ち受けていることと思います。どうか、私たちが立ち止まってしまったとき、これからも今まで通り優しく背中を押してやってください。


 先生方にはたくさんの学びの機会を与えていただき、心から感謝いたしております。この三年間で得た様々な知識や経験は、これから一人一人が自分だけの翼を手に入れる際に、大きな原動力になるはずだと思っています。


 そして在校生の皆さん。周りの人と過ごす一瞬一瞬から、かけがえのない絆を結んでいってください。この学校の良き伝統を受け継ぎつつ、新たなページを紡いでいってください。


 笑い合い、怒り合い、泣き合い、また笑い合う。

 季節と共にそんな色鮮やかな感情を咲かせ続ければ、きっとこの学校にまた一つ、眩しく輝く瞬間が生まれるはずです。


 それでは、この結ヶ宮高校の益々の発展を願いまして、答辞とさせていただきます。






 卒業生代表 三年四組 山岸杏。





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三分間の魔法を、あなたへ。 倉海葉音 @hano888_yaw444

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