第32話 準備
壁に耳あり障子に目あり
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ターゲットの行動を探ったり監視したりするために、気づかれないよう後をつけること。
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カタカタ
『びこう…』
カタカタ
『尾行のやり方』
カチッ
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「……キュゥ……」
彼は十中八九あの女と出かける。
べ、べつにあの女と出かけるからって、不安なわけじゃないからね!
彼が変なことされないか、影から見守るだけなんだから!
何かあったとき助けるためについていくだけよ!!
決して監視ではないわ!
しかし、彼にいきなり女性をデートに誘うなんて甲斐性があるはずないわ。
きっと余計なことを言った人がいるに違いない。
もし会ったら、特製サバ汁ドリンクをおみまいしてやるんだから。
まぁ、そんな不埒者のことはいいわ。
ええっと、やり方は……なになに?
「対象者と歩調を合わせること」
距離を一定に保ち、自分の「コツコツ」という足音を対象者の足音と同調させることで消す。
なるほど。
だけど私にはあまり関係ないわね。
彼とは歩き方が違うから歩調とかないし、私は足音とか静かなタイプだから問題ないでしょ。
「対象者が周囲を見渡している場合は視線に入らない」
待ち合わせ等で対象者がキョロキョロと周りを見ることがあります。隠れて見つめていたのでは不自然で逆に目についてしまいます。携帯電話で話すフリや飲み物を買うなどしながら自然にその場でやり過ごします。
なるほど。
携帯電話で話すフリ、飲み物を買うなど自然にか。
……その方が不自然ね。
彼とは身長差が結構あるから、そもそも視界に入らないと思うわ。
……
…………
次は…怪しまれた時のはぐらかし方?
「近所に住んでいるフリをする」
楽勝ね。どこで見られても、野生のカワウソで通用するわ。
うん。問題は無さそう。
これなら彼を、しっかり監視…ううん見守ることが出来るわ!!
あ、もうこんな時間!
夜ご飯の準備しなくちゃ。
壁に耳あり障子に目あり、彼にさくらあり。
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