第111話 やり直し

鹿児島に出張だったあの人が帰ってきました。

わたしはじぇんじぇん寂しくもないんですがー、 猫が、あの人が居ないと不穏になるんです。

玄関を見つめて鳴くんです。

ฅ(^•ﻌ•^)ฅ にぇ〜ん にぇ〜ん

「もうすぐ、帰ってくるよ。大丈夫だよ。もうすぐ、薩摩揚げ持って帰って来るから、もう鳴かないで。」と、鳴く猫をなだめます。


ピンポ〜ン!

「あ!! 帰ってきたじょ」と言うと、嬉しそうに猫が走って玄関に向かいました。



ガチャ

「おかえり」

「ただいま。疲れた…」

「ん?」

「何?」

「手荷物は?」

「あ、はい」

「ん? これだけ?」

「疲っかれちゃってさ〜、買い物とかできなかったのー」

にゃお〜ん♡

「薩摩揚げ、無いんだって!!!(゚д゚)!」

がっ がおぉ~んがおぉ~んがおぉ~ん

「私に文句言わないでよ、鹿児島に行ったら薩摩揚げ買って来ると思うじゃん!」

がおぉ~んがおぉ~ん

「あんたが、薩摩揚げ買って来ないから、猫、怒ってるよ!」

「お菓子、お菓子あるから…」

「…しかも、夕飯のおかず、薩摩揚げのつもりで、なんにも用意してません。 どうすんの薩摩揚げ」

「…。」

「薩摩揚げ」

「…。」

「はい、やり直し! 

もっかい鹿児島行ってきて→」

「…。」

がおぉ~ん!!!



2対1で、あいつの負け。何も言い返せません。

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