第73話 想い
うちの主人は、私の実の母を大切にしてくれるという、普段のおこないをすべて洗い流してくれるぐらいの優しい気持ちを持っている。
ご飯が炊けると一番にご飯をよそい、「はい、ライスだよ」と持って行ってくれるし、
出張先からは必ずお土産を買ってきてくれる。
ふと、「母ちゃん元気かな〜」なんて思い出して言ってくれるんだけど、
5年前に死んでますから。
元気なわけないんすけど。
何故かまだ彼の心の中には確かに母が存在しているらしく、仏壇のご飯が減っていると、
「母ちゃんが食った! みてこれすげー減ってる!!!」って言ってくるんですけど、
夏場で水分飛ぶの早いだけだし、だいたいオマエの飯の盛り方がケチくさいから、干からびるのが早いんだよね。
母も、遺影の後ろで呆れてますわ。
生前。あの人の事を
「いいとこ見せたいその割に、悪いとこだけよく目立つ」と言ってましたもん。
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