第17話 勝手に着て行くな

「今日は現場に行かなくちゃなんだよー」

朝から、いやだな〜って顔で身支度をしているあいつ。

「寒いから、ヒートテック2枚ぃ」

いちいち言わないと用意が進まんのかね。


私は朝のエンジンがなかなかかからないタイプ。起床してからしばらくは、ソファや椅子に座ってじっとする時間を要す。

できれば、自分のペースで穏やかに覚醒したい。

そこにあやつの独り言。「あー、行きたくないな〜」「オッケーグーグル!今日の天気!」「寒いのか〜 でも着てるとあちいんだよな〜」「はーあ、いっきたくないな〜」

うっせーな。これはすべて独り言です。

私はひたすら無視をしてあいつを視界に入れないようにやり過ごします。


で。

なんとあいつ。

作業着の上に、、

なな、なんと、私のプレミアムダウンを着て行ったのですよ!

私がぼんやりとしているうちに。

なんのことわりもなく!

私が知らないうちに出かけたんすよ!


人の服を、土木現場に着て行く人の気が知れません。

自分のドカジャン着て行けっつうの!



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