第52話 憎悪

五十二

 学校に行きたくないと思いつつも、僕はしぶしぶ学校に行きました。僕が教室に入ると、一瞬だけ、教室は不気味な静寂に包まれます。

 

 しかし、何事もなかったかのようにおしゃべりが始まるのです。


 僕は給食の時間が特に嫌いでした。給食の時間は建前上、グループで机を合わせることになっています。


 しかし、僕の机と他の人の机の間には微妙な隙間がありました。それに対して、僕以外の人は机がぴったりとくっついています。この隙間を使って、僕に対する拒絶を表現したいのだと悟りました。


 他の人は僕を除いて、楽しそうに談笑をしていました。僕は誰も話す相手がいないため、早く食べ終わってしまいました。この何をしてよいのかが分からない時間が恐ろしいのです。この机から立ち上がって、どこかへ逃げ出したいと思っても、そうすることができないのです。


 それに、机を離すだけで嫌がらせが終わるわけではありません。牛乳のストロー、ドレッシングが入っていた小袋、ふりかけといったゴミを僕の机の上に乗せるのです。何も言わないで、僕がそうすることが当たり前であるかのようにゴミを乗せるのです。仕方なく、僕はそのゴミを捨てました。


 こういった嫌がらせがずっと続きました。全てを書こうとすれば、キリがありません。その中でも、最も今の自分に影響を与えた嫌がらせを記したいと思います。


 家庭科の時間でした。その時間では、ハンバーグをつくることになっていました。僕が玉ねぎを切ろうとすると、グループの女子にこう言われました。


「触らないで、菌がつくから」


 僕は伸ばしかけた手を引っ込めました。僕は何もすることができず、グループの人が料理をしている光景を眺めていました。


 「あっち、行って」

同じ女子は遠くを指差しました。すると、その女子のそばにいた他の女子も、「あっちに行って」と繰り返しました。それに加えて、他の男子が僕の顔を見て、笑い出しました。


 僕は何もできずにその場で立ち止まってしまいました。この場から、消えたい。僕は切実にそう思いました。


 最終的に、僕は焦げたハンバーグを食べるはめになりました。その後、全ての皿を洗って、拭きました。


 この日から、僕は女という生き物に対する憎悪を持ちました。女は男の数倍、恐ろしいのです。しかし、ただ恐ろしい生き物ではないことを後で僕は知ることになるのです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます