アカネ パート1

第42話 順位

四十二

 「何点かな?」

「60点かな?」

「いやいや、40点でしょ」

「それは流石に低いよ」


 ケンジの机にクラスの男子が集まっていた。アカネは男子たちが何をしているのかが分からなかった。


 けれども、何かの点数をつけていることだけははっきりしていた。


「みんなの意見をまとめて、平均点を出そう」

「それはいいね」

そう言って、男子たちは一人ずつ数字を言っていた。

「結果は45点です」

「それくらいだよね」


 「何してるの?」

男子の群れにとある女子が話しかけた。

「なんでもないよ」

ケンジは何かを机の引き出しの中に隠した。

「見せなさいよ」


 ケンジはずっと引き出しを押さえた。女子はなんとか引き出しに手を伸ばそうとしたが、うまくいかなかった。そのせいで、結局のところ、ケンジが何を隠していたのかが分からなかった。


 放課後になった。クラスには誰もいない。アカネはケンジたちが何をしているのかが気になった。そこで、こっそりとバレないように、ケンジの引き出しの中を見た。ただ、教科書があるだけだった。


 けれども、教科書であれば、何も隠す必要などないようにアカネは感じた。


 アカネは引き出しにあるものを全部出してみた。数学の教科書にA4のファイルが不自然に挟まっているのを見つけた。ファイルの中にルーズリーフがあった。アカネはそれを見て、ショックを受けた。


 そのルーズリーフには「2年3組 格付けリスト」と書かれていた。1位から順に最下位まで、クラスの女子の名前が書かれていた。アカネは自分の順位を確かめた。クラスの女子16人中、アカネは13位だった。その横に点数が書かれていた。45点。ケンジたちが言っていた45点とは、アカネの点数だったのである。


 その横に理由という項目があった。メガネが似合っていない。最近、太った。ニキビが多い。無愛想。暗い。1位のサワの理由を見ると、かわいい、美人、明るい、真面目と書いてあった。


 ケンジたちは女子の容姿や性格をランキングづけしていたのである。


 アカネは切ない気分になった。


 だからといって、アカネは自分の順位に納得がいかなかったわけではない。アカネは自分が採点されているという事実に驚き、切なくなったのである。それに加えて、アカネは自分の容姿に自信がなかった。格付けの理由にあるように、アカネの顔には、ニキビが多いのである。そのことをアカネ本人が一番気にしていた。


 アカネは静かにルーズリーフをファイルに入れて、教科書をもとの順に戻した。

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