第118話『根拠なき可能性』
別動隊捜査本部に、防務省に出向いていたエルマが戻って来た。
その顔は苦悶に満ちており、良き成果を得られなかったことを伝えてくる。
「エルマ、チャリオスの視察はどう?」
「防務省として視察の許可は出せないと防務長官に言われました。確たる証拠がない中で容疑者としてチャリオスの視察は軋轢を生む要因となるとしてね」
現状、チャリオスの容疑は全て状況証拠からなるもの。明確にチャリオス由来の証拠がないため公な決断を下せないのだ。
「もし防務省とチャリオスに一切の繋がりがなければ許可が下りただろうけど、弾薬供給の契約を結んでいるから出来ないと言われました」
防務省としては全うな反論だ。テロ事件の容疑を掛けられて以前と変わらない契約が維持される保証はない。弾薬のみとはいえ軍事費の削減は大きく、それが失われる可能性があるなら慎重になるのは当然だろう。
「ひとまず許可が下りないので公での視察は諦めるしかありません」
「……ソレイ陛下の命なら出来るのでは?」
王命は法に沿う形であれば異議を唱えることは許されない力を持ち、ソレイ王が発令すれば防務長官も許可を出すしかない。
「それも止められました。ラネス王太后によってですけどね」
エルマの話によるとただでさえアルタランで王としての立ち位置に揺らぎがあるソレイを、身内とはいえ防務長官が不許可にした事例を許可しては、エルマがソレイを利用していると思われる恐れがあるとのことだ。
ラネス王太后の言う通り、ここでソレイが許可を出せばエルマはソレイを身内という立場を使って利用しているだけとなる。
それでは防務長官の判断もソレイ王の存在もない。ただエルマが裏で暗躍している印象だけが残ってしまう。ラネス王太后はそれを危惧しているのだ。
「それにチャリオスは国に属さない企業。我が国の裁判所命令を無視も出来るから強制も出来ません」
チャリオスに直接口出しできるのは国に属さないことを認可しているアルタランに限定される。法的にどこにも属していない以上、犯罪を捜査するにしてもアルタランを介さないといけないのだ。
「そうなると手順としては、一つ、チャリオスに直接乗り込むことなくチャリオスが関与した決定的証拠を見つける。二つ、それをアルタランに認めさせてようやく家宅捜索を行って、三つ目の逮捕をなるわけね」
「今更ですけど国に属さない企業の犯罪の処罰はどこがするんです? アルタランは国際組織で裁判所はありませんよ?」
メンバーの誰かが呟く。
「世界憲章では国に属さない企業が犯した犯罪は、企業内なら企業の法務部が対処して国であればその国に裁判権があります」
ならばチャリオスが犯人ならイルリハランに裁判をする権利があることになる。
しかし犯人を特定する手段が封じられてしまった。
「でも……外から調べて分からないから中から調べようとしてるのに、そこを止められたら行き詰まりだわ」
日本の警察もイルリハランの正規の捜査機関でも何一つ決定的な証拠は見つけられていない。
爆薬に使われたであろう成分は検出されても、既存ではないことから再現には至ってはおらず、内部映像も何一つ記録に残されてはいない。
決定的証拠から何一つ導き出されない中で状況証拠からようやく糸口が見えたのに塞がれては、全く別の方向から新たに見つけ出すことになる。
「せめて生き残りがいれば当時のことが聞けるのに……」
「全滅だからな」
「……映画じゃこういう時だと犯罪に詳しい情報屋が協力して別の糸口に気付くとかあるけど、さすがにそうした話は情報省は知ってるわよね」
「情報省の裏までは知りませんが、協力することで多少の違法行為を黙認する協力者はいるでしょうね。巨悪を討つために小さな悪を見逃すことはありますから」
「じゃあお抱え情報屋がいても情報省は分かってないってことね」
「まあ協力者といっても全てを話すとは思えないし、お抱え協力者になるような奴らは二流か三流だろうな。一流の犯罪者が協力や提供はしないだろ」
リィアの言う通り、情報省など体制に協力する犯罪者は身柄が確保されて罪を軽くす代わりに協力をしているということは、仲間からすれば裏切り者だ。かつては一流であったとしても体制に屈して協力するなら二流と言える。
「…………」
と、エルマが難しい顔で考えていることにルィルは気づいた。
「エルマ、なにか思いついたの?」
「可能性は低いですけど、何か知っているかもしれない人に一人心当たりがあります」
「そうなんですか? 誰なんです?」
「リィアさん、ルィルさん、一緒に来てくれますか? その人に会いに行きます」
「分かりました。どちらに向かうんです?」
「極少数の人しか知らない秘密の場所です」
エルマはまだカードを持っているようだった。
*
時々タバコを吸いたい時が来る。
六年前の誘拐未遂事件を契機にタバコを止め、禁断症状にも耐えてからは別段吸いたい気持ちはなくなった。
娘が生まれてからは今まで以上に吸わないよう自分に誓いを立てても、星務省内にある喫煙所付近を歩くと、タバコの香りがして忘れ続けていたい欲求が蘇って来た。
それでも自分と家族の健康を考え、立ち寄ることなく喫煙所を通り過ぎる。
星務省内の様子はテロが起きた頃と比べれば落ち着きを取り戻したと言える。
国のトップがテロに巻き込まれて死去すると言う歴史上でも例のないことでも、国家規模の組織となれば即応は出来るらしく、通常運転と差し支えない様子で職員たちは職務に努めていた。
口外こそ出来なくても、毎年のように総理がコロコロ変わり続けた恩恵か弊害であろう。
職員それぞれの内心は分からないが、日本と言う国を守るために自分の仕事をし続ける。
事件解明は重要だが、政治への不安を払拭するのもまた重要だ。
羽熊もまたその一人で、佐々木前総理を始め六年間の交流のある総理や副総理が亡くなり、まだ悲しさがあるにもかかわらず表には出さずに仕事をしている。
不安やストレスは上から下に広がるから、政府が不安になれば国民も不安となって日本全土が揺らぐ。
そうさせないためにも政府が問題ないことを見せ続けなければならない。
だが、テロの捜査に関しては芳しくない。
異地社会のしかも新型爆薬によって何もかもが吹き飛ばされ、犯人に繋がる証拠が何一つ残されてはいない。
警察や消防が瓦礫の一つ一つを丁寧に取り除いて生き残った電子機器や、爆発物の破片を見つけ出そうとしても核兵器を除いて最大の爆発力に何もかも吹き飛ばされてしまった。
新型爆薬となれば作れる国は限られるだろうが、その限られた国を絞り込む証拠がない。
異地社会について勉強途中ゆえに、地球で言うアメリカや中国の情報収集には余念はないが、アフリカなどの小国は後回しだ。北朝鮮やイラクみたいな先進国への下剋上を狙う国も勉強しているとはいえ、六年を経ても精通には至らない。
イルリハラン王国の情報省に協力を仰いで情報を仕入れても、機密情報はさすがに教えては貰えず知れるのは少し深入りした情報くらいだ。
そもそも本家が分からない物を新参者が先に知るほうが難しい。強いて言えば発想くらいでも情報が少なくてそれも活かせない。
アルタランによる横槍はなんとか阻止できたものの、横槍の根本的な解決にも至っておらず、テロ事件が解決してもユーストルを中心とした問題が再燃する。
もしテロ事件の首謀者が国家であれば報復戦争が始まる。
全てが穏便に済めばいいが、それは無理であろう。幾度と波乱が襲ってくるのが分かる。
羽熊のスマホにメッセージが入る。
若井総理から話があるらしい。
「……俺、別に若井さんの相談役じゃないんだけどな」
歳が近いのと直接の政府関係者ではないことから相談や愚痴を零したいのだろう。話を聞くだけならいいが、相談に応じたものが国政に関与するのは好ましくない。
絶対にいい噂にならないからだ。
ただ、バーニアンに関しては話は別だ。
羽熊はメッセージに従って首相官邸のいつもの部屋へと向かった。
「若井総理、どうしました?」
部屋にはいつものように若井総理が一人ソファに腰かけていた。
「羽熊博士、すみません。お呼びだてして」
「いえ、さすがに現場や星務省から情報が来なければ出来ることは限られますから」
テロ発生当初は情報収集センターで内閣が総員して対策に励んできたが、二週間以上過ぎると通常業務も並行してしないとならないため対策本部こそ残存させつつも閣僚たちは各々の省庁で執務に励んでいる。
アドバイザーとして参加している羽熊は、首相官邸に居座るわけにもいかず星務省で集まる情報の整理を行っていた。
「……相当お疲れのようですね」
顔に生気が感じられず、一目見て疲弊しているのが分かる。羽熊もだが官房長官から総理代理になってから一度も休まず職務につき、テロ事件だけでなく国会にも出席していた。
文字通り不眠不休で働き、尚且つ総理と言う重度の責任を負うからそうなるのも無理はないだろう。
「ええ、なんとか人前ではそう見せないようにはしてますが」
正規の手続きで選ばれたのならまだしも、法に則って繰り上げ就任となったのだ。与野党問わず内閣からも受け入れられずに総理をするのだから疲弊は凄まじいだろう。
若井総理は両手で自分の顔を拭う。
「総理と言う役職は、身近で見ていてましたが自分がなるとこうも難しいとは」
「若井さんの場合は選ばれたのではなく、法に従ってなっただけですから。味方よりは敵の方が多いですよ」
実際、ネットでも辞任は何日後だと疑似的な賭けが行われたりしている。
ネット記事でも与野党からの総理としての素質の有無が問われ、与党幹事長からも長くは続かないとも言われていた。閣僚の声は聞かないが多くがそう思っているだろう。
「今日お呼びしたのはテロ関連とバーニアンのことで話がしたくて」
「テロ関連では言えることはないですね。現場からもイルリハランからも新情報は上がって来てません」
「エルマさんからは?」
「アルタランの安保理から話してはいませんので、そっちでも分かってません」
最後にエルマと話をしたのはここで安保理による管理案に関してのことで、それ以降のことは何も入って来てはいない。
何らかの活動はしているのだろうが、転移による爆発物の移動で日本側は止まっていた。
「通話による連絡が出来ないのがもどかしいですね……」
「バーニアンの技術力を把握するまでは避けるしかありません。転移技術でいつ爆発物が送られてくるか分かりませんから」
「それは分かっています。それでも高速通信の時代でアナログなのが気に入らないんですよ」
「気持ちはわかります。けど命を守るためにも安全か分かるまでは我慢しかありません」
「……すみません。羽熊さんのほうが行き来が多くて大変だと言うのに」
「いえ、私より四面楚歌の若井さんのほうが辛いでしょうから」
「羽熊博士も私の続投は避けるべきですか?」
テロ事件やバーニアンは建前で、おそらくこれが呼び出しの理由と羽熊は察した。
羽熊は腕を組んで十秒ほど考える。
「一般市民として言うなら辞任すべきと思います。自分から総裁選に立候補して選ばれたのなら自信も支持もありますけど、若井さんの場合はそのどちらもなく総理の立場に立っているんですから。建前として周りは支えようとしますけど、内心はいい顔はしてないでしょう。それをテレビ越しで見ても感じます」
友人だからこそ羽熊ははっきりと告げる。若井の心象を想ってオブラートに包むことも出来たが、それでは友とは言えない。
「ただ、永田町の常識は一般社会の非常識とも言われてます。高齢議員なら頑なに既得権益を奪われまいと変革を嫌うでしょうから、せっかく三十代の総理が曲がりなりにも出来たのだからかき乱してほしい気持ちもあります」
これもネットで存在している数少ない若井総理を支持する意見だ。
若いからこそ期待しない声と、若いからこそ期待する声が入り混じる。さすがに割合で言えば期待する声は少数ではあるものの、法によって守られた既得権益を壊すきっかけになればとする声はあるのも事実だ。
「とまあここまでは建前ですけど、本音としてはまだ辞任はしてほしくないです。日本でバーニアンを知ってるのは私と若井総理だけなので、辞任するとなれば次の総理にバーニアンとか話さないといけない。けど次の総理が若井さんみたいに話を聞いてくれるか分からないし、そこから秘密が漏れたら今までの苦労が水の泡になってしまう。なのでいくら四面楚歌で周囲から辞めるように言われても総理の席は手放さないでほしいです」
総理が変わっても話さない選択肢もあるが、それだと日本は一切の支援が出来なくなる。現時点でも支援はそこまでではなくても不必要ではないはずだ。
「ただ、それだと総理の素質を問われて百人中九十九人が辞任を求めても辞めないとなるので、若井議員としてのキャリアは今期で終わることもありえます。国の存続を考えて国民から嫌われる、ある意味最悪の総理となるかもしれない。きっと今の比じゃないストレスを抱えるでしょうけど、耐えてもらうしかありません。そう言えば、総理って罷免って出来るんですか?」
「いえ、罷免はありませんが、時限付きで総辞職を強制することは出来ます。よくよく耳にする不信任決議ですね。それが衆議院で可決されれば十日以内に解散か総辞職を選択しなければなりません」
「……でも若井さんは制度に則ってであって信任されたわけではないですよね。それでも不信任決議はされるんですか?」
「総理臨時代理に不信任決議が提出された例はありませんからね。まだ様子見と言ったところです。なので出させないように実直な執務をするだけです」
「なんであれ不信任決議案が出されたらほぼ可決が決まるわけか。そうなったら残り十日で決めないと……」
「なんであれ日本側の支援は長続きは出来ません。そのことをエルマさんに伝えてください」
「分かりました」
「ところで家には帰れてますか? 娘さんとお話は?」
「他の職員よりは早く帰れてますね。さすがに娘は寝てますけど声かけは欠かさず」
赤ん坊は起きても寝ていても様々な情報を無意識に仕入れていると言う。だから父として声は掛けねばと羽熊は毎晩亜季に挨拶を続けている。
「無理に東京に呼び出して何様ですが、家には帰ってあげてください」
「もちろんです。六年前は家に帰る理由が自分以外にありませんでしたけど、今は家族のためですから。妻の実家に帰省して一人ではないとしても顔は見せます」
「ありがとうございます」
「若井さん、私は政策の協力は出来ません。以前みたいに現場で活動も出来ません。それでも友人として総理を支持しますので踏ん張ってください」
「テロ事件が解決するまでは支持率が一割を切っても踏ん張りますよ。博士と話が出来て良かったです」
「出来れば次は首相官邸にいる時でお願いします。星務省にいる時に呼び出されると時間が掛かるので」
「すみません、今しか時間が取れなかったもので」
「いえ、こちらこそ総理に物言いしてすみません」
「気になさらないでください。最後にもう一つなんですけど、テロ組織の方のバーニアンについてなにか仮説でも思いついたことはあります?」
「転移技術を持てる科学力と資金力がある組織としか言えませんね。絞り込むにしてももう少し情報がなければ国家なのか企業なのかテロ組織と全部が当てはまります」
「しかし、転移技術なんて科学力を持つならアインシュタイン級の天才科学者がいても不思議ではないのでは?」
「そもそも転移技術の存在が認知されたのが六年前で、異地の大学などで転移技術を研究している第一人者はいないそうです。アマチュアや学界の異端児系でもいないので、映画みたいな天才的なマッドサイエンティストもないそうですね」
「なら国のお抱え科学者で情報を隠蔽しつづけたか。なんであれ設備のないテロ組織がするとは考えにくいか」
「最低でも大企業レベルからですね。それ以下は難しいかと」
「だとしても六年で技術を確立させて実用化をさせられますかね。我が国でも取っ掛かりすら出来ていないと言うのに」
「そこは私も引っかかってます。地球だってインディアナやアドバンスの開発や建造に世界規模で十年以上掛けたのに、たった六年で出来るとは思えません。六年以上前からしていなければ合理的な説明は出来ませんね」
「それと他人と戯れない孤高の天才的な科学者ですかね」
「そこはさすがにイルリハランの情報省が調べているでしょう」
「……私たちだからこそ疑う部分……か」
「天才って言えばバーニアンがそれですよね。生まれ持った天才……」
「あ……」
羽熊も言って気づく。いや、固定観念で考えないようにしていた、あまりにも分かりやすい可能性。
ハーフの意味であるバーニアンが、すでに存在している可能性だ。
数十年前までは実験体として人権無視で強制的に出生させられていた、地球人こと中国人とリーアンのハーフ。
現存していた最後の個体であったウィスラーによる証言では、ウィスラーが唯一無二のバーニアンでいないからこそ、種の保存からバーニアンの発生を防ぐよう秘密の協定を結んだ。
それゆえに、今の今までその可能性を考えてすらいなかった。
その可能性に気付いてから冷や汗が全身から湧き出てくる。
膝も小刻みながら震え、ちょっとした衝撃で崩れてしまいそうになった。
「バーニアンを知る者を殺し、尚且つ転移技術とか新型爆薬を開発する科学力。テロの犯人か科学者がウィスラーと同じように地球人とフィリアのハーフのバーニアンであれば説明は付きませんかね」
「確かに当てはまりますね。けどそれはある意味最悪の事態でもあります」
六年間必死に広めないようにしたバーニアンが、すでに成人レベルで存在していると言うことだ。六年間の苦労が最初から無駄だったことになる。
それだけでなく不特定多数のバーニアンが世界中で子孫を増やしている可能性もあるのだ。
そうなると個体数を管理しない限りバーニアンは増え続け、相対的にリーアンは超長期で減少してしまう。
「博士、直感でいいんですけどバーニアンがすでにいることは考えられますか?」
「辻褄は合いますけど証拠がない。もしいるなら数十年前、レーゲンのバーニアン研究施設が墜落する前後で脱出して生き残ったことになりますけど、それを証明できません」
今ここでどれだけ合理的な考えが出来ようと机上の空論に過ぎない。裏付けする証拠がなければそこで終わりだ。むしろ決めつけてしまって新たな観念を拒否してしまう。
「なのでエルマさん達に期待しましょう」
辻褄は合うものの、そうなるとウィスラー前大統領を殺した理由が分からない。
自分たちがバーニアンと認知しているなら同族のウィスラーに気付かないとは思えない。同族だからこそ仲間に引き込むだろうから、バーニアンではないと否定することは出来る。
またはウィスラーは死んだと思わせて生きているか、仲間になることを拒否されて殺されたか。
なんであれ情報がなければ先には進めない。
ルィルたちはバーニアンの存在を知った上で調査を続けるのだから、何らかの情報を見出して持って来てくれるだろう。
今はそれしか出来ない。
「総理、そろそろお時間です」
ドアからノックがしてSPがドアを開けた。
「今行く。では羽熊博士、急に呼んでしてすみませんでした」
「しがらみに関係なく吐露できるのが私だけでしょうからね。頻繁には困りますけどサンドバックならなりますよ」
「ありがとうございます」
総理は分単位でスケジュールが決まっている。この羽熊との会話も限られた中でのことで、次の予定に間に合わせるため若井総理は部屋を退室していった。
「……バーニアンがテロの犯人。だとしたら二手三手先を読んでる可能性があるな」
全ては確たる証拠を得てだが、最悪の可能性が生まれた以上はこちら側も手を打たなければならない。
まずはエルマたちにその可能性を伝えよう。
もしかしたらエルマたちも気づいているかもしれないが、アナログな連絡しか出来ないのだから共有は密にするべきだ。
羽熊はそう考えて首相官邸を後にした。
本当にタバコを吸いたくなる。
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