第36話

 博くんは、ロングヘアーの女性の後ろについて歩いて行く。

 改札口は自然と通る事が出来た。


 私は、同じように、ショートヘアーの女性の後をついて歩いた。

 すると、問題なく通る事が出来た。


 博くんは、私の手を握りしめた。

 そして、私たちはゆっくりと電車のホームへ歩いて行った。


 電車にゆらゆらと揺られついた場所は名前も知らない駅……


「大丈夫だから」


 博くんがはそう言って私の手を引っ張った。


「確か、この辺にお母さんのアパートがあるんだ……」


 博くんは、メモを片手に住所をたどった。


「にょにょにょ?」


「うん?

 大丈夫だよ……

 俺、一回来た事があるから……」


 博くんは、そう言うとニッコリと笑った。

 それでも、私は不安だった。

 知らない街に、知らない場所

 一人になったら帰れない。


不安で不安で仕方がなく……


 私は、力いっぱい、博君の手を握りしめた。


「大丈夫だよ」


 博くんは、そう言うと私の頭を撫でた。


「ここが、俺のお母さんのアパート」


 博くんが、指を指した場所に見えたのは小さなアパート


「ここの2階の202号室が、俺のお母さんの部屋なんだ」


「にょにょにょ……」


 ゆっくりと私たちは階段を登った。


ピンポーン


 インターフォンを鳴らすと見知らぬ男の人が顔を出した。


 誰?


 と思っても、私は博くんのお母さんの顔も知らない。

 しかし、博くんも知らないようだった。


「お兄さん誰?」


「君たちこそ誰?」


 お兄さんは、私たちを眼を細くして睨みました。


「あのお母さんは……」


「お母さん??

 おい、幸子!

 こいつら、お前の子供?」


 お兄さんは、奥に居る裸の女の人に尋ねました。

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