第15話

 するとひとりの男子生徒が近づいてくる。


 私をレイプしてくる男の人だ。


「お?今日はひとりか?」


 私は、なにも答えない。


「……じゃ、今日はひとりでお前とヤれるんだな!

 これは楽しみだ!」


 私は、強引にそのままホテルに連れて行かれ……

 再びレイプされた。


 抵抗しなかった。


 もうどうでもよくなった。

 その日の夜。

 私は、死を決意した。

 遺書を書いた。


 レイプされたこと、先生に優しくされたこと。

 酷いいじめ、そしていじめたクラスメイトの写真付きの名前をネットにアップした。

 ここからが、私の復讐だ……


 イジメた相手への復讐。

 小さな復讐だけど遺書付きの動画は、あっという間に拡散された。


 私は、マンションの屋上。


 そこで飛び降りる。


 そして、死ぬんだ……


「先生、今逢いに行きますね」


 私は、小さく震えるとマンションから飛び降りた。


 そして、私が気づいたとき……

 私は、ベッドの上にいた。


 白い天井に白いシーツ。


 そして、感覚がない足。


 そのとき思った。

 私、死ねなかったんだ……


 私は悔しくてつらくて泣いた。

 先生に逢えない。

 先生に逢いたい。

 あって紅茶を淹れてあげたい。


 ぼろぼろと涙が溢れる私。

 すると警察の人が私の部屋にやってきた。

 服を見ればすぐに警察の人だとわかった。


「君をイジメていた子どもたちは逮捕したよ」


 警察の人が、優しい声で言ってくれた。


「え?」


「殺人罪でね……

 君も酷いイジメを受けていたんだろう?

 出来ればその、被害届をを出してもらいたいんだが……」


「私の遺書みましたか?」


 警察の人は、苦い顔で頷く。


「ああ、見たよ。

 つらい思いをしたね……」


 私は、その言葉だけで涙が溢れた。


 そして、私をイジメていた人たちは、いろんな罪に問われ捕まった。

 私は、絶望していた。

 逮捕されたからと言って私の傷は癒えない。


 だけどね、先生。

 私、リハビリをすれば足が動くなるんだって!

 だからね、先生。


 私は、先生のような教師を目指すね……

 先生、本当にありがとう!


 私の初恋は、消えてしまったけど……

 イジメと闘う教師になるという夢ができた。

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