第11話

 でも、今日はいつもと違った。


「おい。

 誰とでもエッチさせてくれる女ってここにいるのか?」


 男子生徒の声が聞こえてきた。

 って今なんて言った?

 誰とでもエッチ?

 それってもしかして……


「そうだよ、今この個室でビチョビチョに濡れているよ」


 彼女たちのひとりが、そう言うと男たちが嬉しそうに笑う。


「お?マジでか?」


 この声はクラスメイトだ。


「マジだよ、大マジ。

 あの子、無理やりされるのが好きだそうだから強引にやっちゃってよ!」


 彼女たちが嬉しそうに笑う。


「と言うか、そいつ可愛いのか?

 不細工だったら承知しないからな!」


「あんたらも知っている顔だよ」


 彼女らが、そう言ってクスクス笑う。


「ん?誰だ?」


 男子生徒の声が嬉しそう。


「それは、この扉を開けてのお楽しみ」


 彼女たちが、そう言ってドアを叩く。


「なぁ、早くヤラせろよ!」


 男子生徒が苛立ちながら言っている。

 なにこれ?

 私、もしかしてレイプされる?


 頭の中が真っ白になる。

 そして、そのあと色んな怖いことを考えてしまう。


「嫌!

 私、そんなことしないから!」


 私は、大きな声でそう言った。


「……お前の意思とか誰も聞いてないんだよ!」


 彼女たちが、そう言ってわめく。


「じゃ、ドア開けないもん!

 絶対開けないんだから!」


 私が、そう言うと男子生徒たちがケラケラ笑っている。

 何がそんなに可笑しいの?


 男子生徒たちは、笑いながらドアをノックする。


「入ってますかー?

 それとも入れられますかー?」


 そのドアを叩く音がだんだん大きくなる。

 こんなドアなんてすぐに壊される。

 そう思ったとき。

 私が思った通りドアは壊され男子生徒たちの姿が視界に入る。

 私の頭がまっしろになる。

 どうしていいかわからない。

 私は、叫ぶことも出来ず。

 そのまま名前も知らない男子生徒たちに避妊具をつけずに犯された。

 何度も何度も犯された。

 嫌だと言ってもその言葉は届かない。

 届かないまま私の思考は停止した。


 気がつけば私は裸でトイレの床に倒れていた。

 そんな私の姿はまるで……

 そう、まるで壊れた人形だった。


 誰も助けてくれない。

 絶望なる世界。

 私は、声を出せないまま涙を流した。

 私はひとりぼっち。

 だから、助けは来ない。

 助けては貰えない。

 だってそうでしょう?

 私は、ひとりなのだから……

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