第10話
どうして、私はいつもこうなんだろう……
いつも思う。
もっと積極的に生きれたら、楽なのに。
でも、今更後悔したって仕方がないよね……
私は今、女子トイレの個室に閉じ込められている。
毎日毎日、あの人たちは飽きないのだろうか?
そして、知りもしないんだろうな……
あの人たちにとって一瞬の笑顔は、私にとっては一生の傷になるってことを。
まぁ、知ったところでそれさえもただの一瞬の笑いなんだろうな。
私は、もう抵抗しない。
前まではドアを叩いて助けを求めていた。
それを見た彼女たちは、嬉しそうにきゃっきゃと笑う。
それで満足していたんだ。
でも、私はもう抵抗しない。
抵抗したところで誰も助けてはくれないのだから。
私は、そう思って小さくうずくまった。
「もう、終わらないかな……」
小さく声を出す。
もちろんその声は彼女たちには届かない。
でも、彼女たちは抵抗しない私が面白くなかった。
彼女たちが、次に取った行動。
それは、誰にでもわかることだった。
よくバケツを引っくり返したような雨。
と例える天気予報士が多い。
でも、それが現実になるなんてアニメやドラマの世界だけだと思っていた。
そう、水が入ったバケツが振ってきたのだ。
水が入ったバケツは容赦なく私に襲いかかる。
「きゃ!」
私は思わず声に出してしまう。
私の体は、水まみれになる。
冷たい水は容赦なく私の体温を奪う。
寒い……
私は、抵抗しない。
抵抗したら負けなんだ。
そう思っていた。
すると彼女たちが笑う。
「『きゃ!』だって!
カワイコぶってんじゃねぇえよ!」
そう言ってトイレのドアを殴る。
怖い。
だけど、逃げる場所なんてどこにもない。
このトイレのドアは引き戸。
だから、開けることは出来る。
でも、開けると待っているのは彼女たちからの暴力だ。
だから、私はひたすらここで彼女たちがあきるのを待つしか出来ない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます