魂の創発

作者 のあの

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★★★ Excellent!!!

おそらく『難解』という印象を持たれる短編ではあると思います。
けれどもだからこそ思考ではなく感じることができるのではないかと思います。

一番よい方法は、我が身に引き当てて読み進めることでしょう。

当事者となって読むことのできる小説は数少ないと思います。なぜかというと表層の悩みにしか目を向けない小説が余りにも増えてしまったから。
わたしはわたし自身の立場での解釈しかできませんけれども、お読みになる方がそれぞれに自分の魂の奥底の苦悩や喜びを想像しながら読み進められればよいのだと思います。

お勧めいたします。

★★★ Excellent!!!

ここは古びた美術館の一室。
貴方の前に、シュルレアリスムの絵画が並ぶ。
一枚、また一枚と目を流しつつそぞろ歩けば……
言葉の額縁に囲われた幻惑のイメージが香りたち、
優雅な眩暈(めまい)とともに意識を酩酊させる。
いつのまにかベンチに腰を下ろすと、誰かが忘れていった本が一冊。
安部公房のペーパーバックだ。
振り向けば続きの部屋が二つ。
ひとつはフォービズム、もうひとつはキュビスムの部屋。
どちらの部屋に立ち寄るもよし。
繰り返し、訪れるもよし。
ここは、文字で綴られた絵画の美術館。
眺めて、憩(いこ)う。それでいいのです、たぶん。

★★ Very Good!!

私淑する小説家の先生の『表面に留まれ』という言葉を実践するつもりで3回読み返してみました。分かるか分からないかで言えば、私には分かりませんでした。分析を試みても、まるで行間に飲み込まれてしまうかのようで、上手く行かないのです。
AをBに喩えるとき、2つの間には必ず距離がある。段落と段落の間、行と行の間、発想と発想の間、意味と意味の間にも距離がある。その距離をあえて遠く、長く取られた作品だという印象を受けました。初見ではそこに繋がりがあろうとも思われない2点間の隔たり。読み手はそれを渡り切ることができず、理解不能の深みに嵌まってしまうのでしょう。
私にとってはとても新鮮な読書体験でした。ありがとうございました。