第226話 僕は大変に身体に良い。薬膳料理にも使用されるくこの実(22)

「ほら、きてみろ!」、


「こっちへこい!」と。


 竹輪のおじさんは、家の怖い顔のおじさんへと不満を募らして、その場、この場を。そう、絵里ちゃんのママさんに魅入られ、虜になり仕事。絵里ちゃんの家族以外には接待、接客を疎か。しなくなった。家の怖い顔のおじさんへと愛想が尽きて、売り場を後に使用としているお客さん達へと手招き、猫招き、ではないか?


 隣のおじさんは、家の怖い顔のおじさんへと一緒で、ブルドッグ顔で、厳つい感じの顔を、相をしているおじさんだから。いくら良いように言う。例えても。設樂焼のたぬき。たぬき親父と言った顔の相、いで立ちだから。


 たぬきの手招きで、気を悪くして、売り場を去ろうと試みるお客さまへと、次から次へと手招きしながら。


「ええから。きてみろ! 早く!」、


「お前も逃げんと、こっちへ、こ~い! こ~い! 早く~!」、


「ほら! ほら! 逃げんと、これを! これを! 食うてみぃ~! 美味いから~!」と。


 手招きと、竹輪のおじさんの澄んだ声音。それと? 僕達【クコベリー】、【クランベリー】と、【竹炭まめ】、【ウコンパンプ】に、【紫芋けんぴ】と。


 この西日本のおみやげでは、大変に人気の高い【芋けんぴ】の試食。試食の入った容器。タッパーを次から次へと差し出し。


「ほら~! 逃げんと食べ~!」、


「食べてみぃ~!」、


「ほら! ほら!」と、誘っていく。このリズムある口調、声音は、リアルの実話だからね。


 このおじさんを一度でも見て、販売。買わされたことのあるお客様達ならば。


『あ、ああ、なるほど。あのおじさん。お爺さんだ』と思い呟くぐらい。西日本のとある道の駅、観光施設で有名だったおじさんだったのだが。と、告げたところで、目に滴が潤むようになるからここまでにして、物語へと戻る。戻るからね。




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