第217話 僕は大変に身体に良い。薬膳料理にも使用されるくこの実(13)

 家の怖い顔のおじさんの顔が、更に大変なことになってきている。更に怖く、不気味な顔へと変貌、変化をしているから。


 家の怖い顔のおじさんよりも、隣の竹輪のおじさん。彼も怖い顔では間違いないのだが。彼は今までの回想シーンを思い出してもらえればわかる通りだ。


 彼は、彼の、年齢は、九十二歳のお爺さんだから。いくら竹輪のおじさん自身もブルドッグ顔ではあるのだが。ここもやはり年の功と言う奴、言われる奴でね。足が早い。急いでいる。急を要しているお客さま達は、家の怖い顔のおじさんではなく。隣の怖い顔をした御老体へと。


『おじさん、これいくら?』


『おっちゃん、これ、なんぼ?』


『いくらなの? おじさん?』


『いくらで御座いましょうか? 御老体さま?』と、尋ね始めるから。


「おぉ~い! お前~? 今も~? 三個で千円のところを~。五個で、千円で、ええのか? お前?」と。


 隣のお爺さん、竹輪のおじさんは、家の怖い顔のおじさんへと、いつもの彼の透き通るような声音──。


 そう、先程も、【ウコンパンプ】の奴が説明。絶賛をしていた竹輪のおじさんの透き通るような声色のトーン、声音で。この道の駅の外、駐車場の端から端まで響きわたるような声音で尋ねてくるのだ。


 それも、このような台詞まで付け加えてね。

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