さらばデンゲル人テレスと仲間たちその21
ひだまりの国は自由に、豊かになりました。
しかし、コウメイやヒキコモリーヌ、若き6人組にとってはこの時期に最大の敵と戦うことになります。
それは軽蔑と差別意識を持つ人々と戦うことです。
何故最大かというと、今まではガチスやデンゲルといった個別の人種や団体を相手に戦ってきたわけですが、今回はひだまりの民も含めてほぼすべての無名の大衆をある意味敵に回す状態でした。
それはまるでシーソーのようで、ガチスとデンゲルの傲慢を叩けば、今度はひだまりの大衆が同じ性質の傲慢さを他の民族に向けるという事態でした。
そしてテレスたちがひだまりからいなくなることでさらに燃え広がっていきました。
ここまでが前回のあらすじですが、この戦いの難しさは敵の数の多さだけではありません。
今までは情報戦という戦争でしたから、基本的には手加減の必要はあまりありませんでした。
しかし、今回は相手が主にひだまりの一般大衆だったために出来るだけ相手を傷つけない方法を取らざるを得ませんでした。
この時点でコウメイやバグダのような劇薬を用いるのが難しい状況となっていました。
しかし、このままほっとけば短期的にはテレスたちと約束したお互いを伸ばすという構想は破綻し、下手をすれば、ひだまりの国が第二のデンゲルやガチスとなってしまう危険性が迫っていたのです。
何もしないわけには行かないということで、まずは若手官僚たちを集め、事態の確認と今までの状況の説明、そして情報の共有をしました。
そして、若手官僚たちにも対策を練るように要請しました。
コウメイとヒキコモリーヌの手回しもあってか、若手官僚の殆どは事の重大性を共有することが出来ました。
この事だけでも、ひだまりの差別の嵐の中で砦となる塊が出来たわけで小さいですが貴重な一歩となりました。
しかし、時間はあまりありません。
彼らの苦悩はまだまだ続きます。
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