破竹の勢いその7

杜預(とよ)は武帝にさらに念押しします。

武帝が呉を撃ちたいのに、臣下が付いてこないのは武帝が攻略を計略と見なし、公にせず、その結果臣下たちに武帝の考えが伝わっていないからである。


謀(はかりごと)は敵に知られない方が良い、その点今の状況は最適であることをほのめかしつつ、いまこそ決着をつけるべきと決断を迫ります。

そして、勢いとして今が絶好の機会であると重ねて畳みかけます。


それから、さらにダメ押しの言葉を加えます。

臣下たちは武帝のやさしさに甘えて武帝の思いと逆に自分の意見を軽んじています。

でも、現場を見れば呉を撃つ準備と機会は着々と整っています。


もしここで敵に時間を与えると、敵は計略を仕掛けたり、あるいは負けないために奥に逃げて閉じこもるかもしれません。

そうなったら、攻める意味がなくなり、今まで準備した計略も無駄になってしまい勝機を逃がすことになるでしょう。


ここでコウメイは説明を加えます。

ひだまりの民は長年の平和に甘んじ、攻勢の意見に対して軽んじたり、慎重になる傾向が強い。


しかし、情報戦の最前線を経験していれば敵の陣営についてある場所は人々が処罰されて手薄になっている。

また、ある場所は幻の勝利に酔って油断しきっている。


またある場所は裏切り者を探すことに夢中になり、防衛線が麻の如く乱れている。

バグダとテレスによってずたずたになっている今こそ情報戦において一気に攻勢に出るべき時である。


もし、この機を逃せば、ガチスもデンゲルも計略に長けた国家であり、まともにやりあったらバグダやテレスたちでもどうなるか分からない。

元々、彼らの傲慢と油断から出来た隙なのだから、彼らが頭を冷やしてしまったらその立て直しは思っている以上に早いかもしれない。


今を千載一遇の好機とみなし多少の裏切り者や日和見主義者が仲間、ひだまりの若手官僚たちの中にいたとしても勢いで一気に勝負をつけることで解決するのがよい、

まさに「破竹の進撃」をするのは今であるとコウメイは力説して話を終わらせました。


さて、会議に出席した人々の反応は?

それは次回のおたのしみ。

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