変人たちの最激戦区その5

以前、デンゲル国の事実上の最高実力者である「宰相」はガチスに心酔していることに何度か触れました。

またデンゲル国の国民の中にもガチスの軍事力と国力に怯える国民が多数存在しました。


そのため、ひだまり憎しという精神の合致により同盟国のように歩調を合わせていたわけですが、なまじひだまりの国をなじり、バカにし、見下して一種の快楽を長期間味わったためにいつの間にか彼らはプライドの高い国民の集合体になっていました。


そんな彼らですから、風向きが変わりガチスとの摩擦が増えても虚勢を張る国民も多くいました。

その結果、宰相たちとその支持者のグループと愛国的なグループに大きく世論が別れることになりました。


その流れを加速させたのもテレスとデンゲル人の仲間たちでした。

もともとテレスたちの目的はデンゲル人の常軌を逸したひだまりの民に対する憎しみ、劣等感、優越性などの感情を薄めたり、そらしたりすることでした。


ガチスとデンゲルの民衆感情を激突させたのもそれが目的です。

そして、テレスたちはほどほどに衝突させて、ひだまりに対する悪感情を緩和できればそれでよかったのです。


所が、デンゲル人は憎しみ、劣等感、優越性などをまるで親の形見の如く大事に心に収めながら、今度はひだまりとガチス両方にその行動力を発揮したのです。

テレスたちもまったく予想していなかったわけではありませんが、ここまで同胞たちが負の感情に支配されている姿を見せられ目の前が真っ暗になりました。


それでも、テレスたちはひだまりの民との約束の為、長期的には自国デンゲルの未来のためにガチスとデンゲルとの離間工作を黙々と続けることにしました。

デンゲルの国論は見事に二分しました。


そして、テレスたちの工作が数字に表れ、世界中に知られる時が来ました。

とあるデンゲルの新聞の世論調査によると、デンゲル人が嫌いな国一位が長年ひだまりの国であったのが、ついにガチスが一位の座につくことになりました。


デンゲルの国内もまた、ガチスと同じように、自国第一主義、民族優越思想に固まる国民たちがほとんどとなり、もはや国としての未来は暗たんたるものとなっていました。


デンゲルたちのかなしい奮闘は続きます。


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