猟犬を生かしてうさぎも残る

ガチスが障碍者インフルエンサーを用済みとして殺害したという情報 (あくまでSNS上の噂であり公式には否定されている) はひだまりの全国に広がり、ガチスとデンゲルの一部にも影響していました。


そして6人組とヒキコモリーヌとテレスが集まり、これからの方針を話し合いました。


猟犬をガチスが殺すというまことしやかな話題と、それに対してデンゲルと親ガチスデンゲル派のひだまりの民がほぼ無反応だったことはとりわけ彼らの中で疑心暗鬼と不安を呼び起こす種となりました。


そして、このことが事実である例証となったのが、天ぷら作戦によりガチスらに見捨てられたひだまりの障碍者クラスターでした。


これは一つの重大な手がかりを与えました。

それは上層部である頭の一部分と、それを支持する大多数の人々を分断することは可能だということでした。


つまり、強大な権力と支配力を持つ一部の幹部とそれ以外の大多数の人間は分離することが可能であるということ。


言葉を変えれば、ガチスやデンゲルやひだまりの今まで敵と判断していた大多数が実は「猟犬」であり、うさぎである自分たちとさほど変わらない存在であるという事実を知ることが出来ました。


この点を理解すると、SNSにおける情報戦において最大の不安要素であった物量の圧倒による敵軍のひだまり制圧という事態を防ぐことが可能である点が見えてきました。


そこで、まず手始めに、SNSのひだまりの領域を中心にこの作戦に参加したほぼすべてが、「狡兎死して走狗烹らる」という標語の拡散と障碍者インフルエンサーたちの二の舞にならないために逃げるようにというメッセージを拡散していきました。


SNS上での立場や思想による罵りあいに慣れていて、もはや日常行事とかしていた人々にとってこの呼びかけは新鮮で意外性のある衝撃的な事でした。


なにしろ、例の障碍者インフルエンサーと10人ほどが死んだ最近の強烈なインパクトのあるニュースです。

自分もそうなるのではと思った人も少数ですがいました。


ひだまりの民は全体的に平和ボケしていたので、すぐに行動に走ったものはほぼ皆無でしたが、不安と疑念の種は確実に広まっていきました。

しかし、一筋縄というわけではありません。


次回その点をお話します。


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