閑話休題 孫子準備体操編14

さて、前回は日本君 (正確には大日本君ですが分かりやすい表現でいきます)がロシアとギリギリの戦いをして、何とか勝利をしたという話でしたね。


でも、アメリカからすると日本君の態度は今一でした。

アメリカの立場からすると講和を日本に有利にしたということ以外にも、戦う前の戦争費用の調達、メディアを駆使した国際世論の形成など日本が出来ない事を沢山してきました。


事実、ロシアが敗北を認めたのは国際世論がロシアの負けを認識したことが大きな要因でした。


別の言い方をすれば日本がいくらロシアに勝ったといってもロシアが認めなければ日本の勝利はなかったのです。


ロシアにはまだとっておき、伝家の宝刀が残っていました。

それは冬将軍とロシア国内の広大な土地に日本軍を誘い込み殲滅するという方法でした。


ヨーロッパで無敵を誇ったナポレオンが手痛い敗北をしたのもこの方法です。

これをさせないためにはロシアが戦意を失うしか手がなく、そのためのアシストのほとんどをアメリカが行った、そう見るとアメリカから見れば相応の報酬があって当然というのは欲張りな見方と断言はできないでしょう。


とにかく、日本は戦争ですべてを賭けて戦ったのだから報酬は多めにいただくし、その分アメリカの取り分が少ないのは当然だ、という形で決着しました。


アメリカは日本の言い分をある程度理解はしましたが、慈善事業をやっているつもりではなかったのでしこりは残りました。


この事で、アメリカと日本は対等に近い関係という認識と講和条件の日本側の言い分を尊重するというメリットと引き換えに、アメリカの日本に対する敵意と警戒心の増加、そして今後安易に助けの手を差し出さないというデメリットを受けることになりました。


こうして見ると日本がわがままに感じる方もいるかもしれませんが、私達としては日本の立場とアメリカの立場、そして日本の得たものと失ったものを知ってほしいと思っただけで日本もずいぶん妥協したと考えています。


事実、この講和会議の後日本政府の首脳部は民衆が怒り狂うことを十分予期していて文字通り体を張って日本の民衆から見たら裏切りとも思える講和を締結したのです。


日本の民衆基準で見たらギリギリどころか暴れ回っても怒りが収まらない講和、それがアメリカから見れば不満という落としどころの極めて難しい話でした。


とにかく、日露戦争後にアメリカの不信が本格化したことを理解してもらえれば十分です。

そして、次の第一次世界大戦で当時は同盟を結んでいたイギリスとの関係も立たれます。


つぎはその話をして、その後現代に話を戻すことにしましょう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る