思い込み?情報のさらに先
6人組がデンゲル人テレスと接触した時期はよくわかっていません。
どうも6人組の方で接触したこと自体をあまり知られてほしくなかったという事情があったようです。
当時の世論がそれほどまでにデンゲル人に対して繊細な問題だったということでしょうか。
またSNSではデンゲル人に対する憎しみや軽蔑がひだまりの民の間で蔓延していました。
この当時法律でデンゲル人に対する表現に関しては特に注意がなされ、ひだまりの民が主語なら問題ない表現でもその主語がデンゲル人になり、少しでも揶揄しようものなら犯罪とされる状況でした。
取り締まりで捕まる者も多く、危険を感じて表現を控えた人々も多数でしたがそれでも不公平感や現状の不満が勝りリスクを覚悟で書き込む人はさらに増えるという状態でした。
6人組も特定の政党や心情のない普通のノンポリでしたが、そうした情報と空気を沢山受けていたためにデンゲル人に対する心証ははっきり悪いといった感じでした。
ただ、この中でも女性陣のサンとムーン、男性陣のバグダは比較的敵意や警戒心は薄く、漠然とした感じでした。
それにたいして女性陣のマーズ、ゴカン、オーベルは今の情報に詳しく、また悪や不正を憎む感情も強かったためにより強い敵意と警戒心を抱いていました。
6人組にとってデンゲル人とは見聞きする情報において悪辣な存在であり、カリン事件の旧勢力の一角をなすという点では脅威的な敵だったのです。
ヒキコモリーヌはそうした空気を察しながらもあくまで事務的に冷静に彼らの会談を行う心構えを持っていました。
まず、最初の挨拶と自己紹介、テレスはひだまりの言葉で巧みに話します。
以前話しましたが、繰り返しますとテレスとはデンゲル人の議員の父を持つエリートです。
彼についてヒキコモリーヌはデンゲルでも珍しい対ひだまりに対して穏健で対等な付き合いを望んでいること、この緊張した関係の多くはデンゲル側に責任があることなどの認識を説明しました。
その後テレス自身の言葉で、お互いの破局を迎える前に今の体制を変える必要があること、そのためにはお互いの非生産的で際限のない憎しみの応酬を抑えること。
そして、旧体制という共通の敵に対して力を蓄え、彼らを弱体化した後に穏便な形で平和を迎えるという目的を明らかにしました。
6人組は当初、ただその話を聞いていました。
彼らは学生でありテレスは年上のような威厳を持っていました。
何より、自分達の情報と違いバランスの取れた思考と礼儀を兼ね備え、建設的な未来を目指していることに唖然としました。
自分達の知る情報のさらに先にある別の何かをこの時6人組は知ることになりました。
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