「カリン」事件その2

少し時間を遡ります。

薄暗い夕方に複数の集団とその中にいる足取りのおかしい女性らしい姿をとある女性が見つけました。


様子のおかしい女性に見覚えのあった発見者は用心深く様子を見ていました。

すると、女性の姿が比較的見える瞬間があり、彼女がカリンであることを発見者は認識しました。


不幸中の幸いでしょうか、その女性はカリンのファンでした。

彼女は見つからないように後を付けつつ、仲間に連絡を取りその仲間からさらに幾人かに情報が伝わり集まってきたのです。


こうして6人ほどの仲間が集まってから、例の酒場に行き、意識もうろう状態のカリンを見つけ保護しました。


なお、卑劣な集団はどさくさに紛れて逃走してしまい、残念ながら取り逃がしてしまいました。


これで、この事件は「一件落着」助けた集団はそう考えていました。

しかし、この話はこれからが本番だったのです。


数日たったある日、某週刊誌にとある記事が掲載されました。

題名は「清純派アイドルの卵の酒と男の遍歴」


そして、その記事には明らかにカリンと思われる少女と複数の男性、そしてこぼれたお酒に濡れたテーブルといった写真が添付されていました。


それだけではありません。

そのさらに翌日にはこの週刊誌と資本と人事において密接な関係がある某新聞にもほぼ同じ内容の記事がでかでかと掲載されていました。


そして、その記事は連載という形式で毎日取り上げられ、本来被害者である少女を糾弾し、その日常生活をまるで見ていたかのような匿名の関係者の話が延々と書かれていました。


内容は複数の男性との交際から始まり、性的な想像を掻き立てる仮説、違法薬物を使用しているかに読者を誘導する彼女の行動など重箱の隅をつつく、しかも事実無根の内容でした。


この陰湿極まりない言論の暴力によってカリンの精神は崩壊してしまいました。

彼女を助けた6人組を含む多くの人々がカリンを励ますべく出来る限りのことをしました。


しかし、依然と異なり彼女はもうアイドルになるどころか、日常の生活にも重大な支障をきたすような心の傷を受けてしまい病院に長期入院することになりました。


話は少し前に戻ります。

カリンが初めて新聞の記事を見た時、彼女は新聞を思いっきり投げつけ、あの奇麗な歌声とは対極の発狂した悲鳴を上げた時、6人組の一人がその新聞を取りさらに記事の内容を追っていきました。


すると、ひだまりの国のアイドルがいかに劣っているかを長々と書いた記事の隣に同じぐらいのスペースを使ってあるアイドルグループたちの提灯記事が書かれていました。


このグループ達のプロフィールにはこのような言葉が何度も出てきました。

「デンゲル」

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