若者達の怒り
孫子の言葉にこういう内容の言葉があります。
敵を攻撃するときには必ず逃げ道を作るように。
なぜなら逃げ道があれば、敵は自分の命惜しさに戦うことよりもどうやって逃げるかに考えが及ぶからだ。
そうした敵と戦うのは危険性も低く効果も高い。
しかし、もし逃げ道を無くすと敵は戦うしかないと覚悟を決める。
すなわち死兵となって文字通り死にもの狂いで戦うことになる。
今までひだまりの国の若者たちが社会や政治に関わらなかったのは、戦っても勝てないことを経験や空気から知っていたからです。
だからこそ、アイドル投票という祭り、聖域の中で自分達の理想を実現し、同時に現実に対する不満を発散していたのです。
それが、無慈悲にも蹂躙された今、彼らはいまだかつてない怒りに震えていました。
そして、彼らには逃げる場所を考えるという思考などはなから吹っ飛んでいて、この理不尽な現実に対する怒りと憎しみしかありませんでした。
彼らの多くはSNSに向かいました。
そこで彼らは片っ端から自分の怒りの原因となったアイドル祭りでの不正やごり押しの実態を書きなぐりました。
この怒りの初期の段階では、何をされたかを書く投稿が多数を占めていました。
例えば、組織的な不法投票、以前も指摘したお金や物品などの実弾攻撃、枕と言われる不潔かつ不適切な男女関係による工作、メディアによる息のかかった有名芸能人の宣伝のごり押し、素人のアイドルに対する明らかな嘘に基づく誹謗中傷やプロパガンダその他もろもろ・・・。
若者の敵達=既得権益の勢力ははじめのうちはこの動きに対してほとんどノーリアクションでした。
なぜなら、彼らの経験上無名の若者達が何もできず、何かしたとしても無意味であると経験上知っていたからです。
そして、彼ら既得権益層は邪魔な素人アイドル、既得権益と無関係の参加者に対して徹底的なネガティブ攻撃を仕掛けました。
それはテレビやラジオや新聞、果てはインターネットの世界でも行われ、それは日に日に大規模に、陰湿に、ますます醜い言葉での攻撃となりました。
そして、一つの悲劇的な事件が起こりました。
それは「カリン」という一人の少女に起きた大事件でした。
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