テレビ放映戦国大名総選挙その69 織田信長
皆様の中で「銀河英雄伝説」というSFオペラ小説をご存じの方はいるでしょうか。
第三回目の伊勢長島での一向宗との戦いの時、信長軍の兵力は12万、一向宗側は10万と言われています。
初期の戦力はほぼ互角、しかし指揮官の能力と戦略の有利さから戦いは終始信長側の優位に進みました。
そして、一向衆は城(銀河英雄伝説なら要塞)に籠りますがやがて組織が崩壊します。
こうして一向衆側を追い詰め、時には敵を逃がして本拠地での物資を消費させるために計略を放ちます。
そして、信長の胸中には以前からの憎しみのため、一向衆許すまじという心を固く定めつつ、降伏した一向衆と相対しました。
しかし、一向衆は最後の捨て身の攻撃を行い、織田の名を持つ複数の武将を道連れにします。
余談ですが、この戦いでのこれまでの信長軍の損害は1000人足らず、つまり完勝でした。
前にも説明した通り、この戦いで信長はほぼ全軍を率いていました。
そして、損害がわずかにも関わらず織田家の身内が沢山死んだ。
この心境は恐らく銀河英雄伝説のラインハルトが味わった苦痛と似ているのではないかと私は思いました。
天才が入念な準備をして終始優勢に戦い、最後の最後でつめを誤って貴重な身内を失ってしまう気持ち。
もちろん銀河英雄伝説は架空小説であり、たまたま似たような話になったのだろうとは思いますが、読んだ読者としてはこの胸が張り裂けるような後悔の気持ちは同じように感じるのではと思い、あえて紹介しました。
この大事件により、信長は完全に切れました。
この戦いの時点で激怒していただろうこの天才は、激怒を超えた感情をもって残った多数の、2万人とも言われる人々にあることを行います。
それは鉄砲による虐殺でも、串刺しによる処刑でもありません。
信長は残った拠点となる城に幾重にも柵で囲み、火攻めにしました。
そして、城中の2万の男女が焼け死んだと伝わっています。
私個人は人が死ぬとき、一番つらいのは飢え死に、次は火攻めだと思います。
もちろん拷問による痛みを伴った死も相当つらいですが、痛みはあるとこまで行くと脳がその機能を遮断すると言われています。
しかし、飢え死にの場合、体の極限まで苦しめられしかも簡単には死ねません。
炎については地獄の業火の教えもあり、視覚的にも知覚的にも受け入れがたいものだったと思われます。
この時の一向衆は恐らく女子供もおり、極限まで飢えてしかも逃げられないという彼らの思考から見ても地獄そのものだったと思われます。
こうして信長は戦争において一線を超える戦術を用いました。
私は彼が苛烈な意志を持って天下をまとめようとしたのはこのころではないかと考えています。
では次の章ではこの後の信長の動きを紹介していきたいと思います。
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