第274話 フウイネットのペースをつかむ

かつて、フウイがネットに対峙していた時はひたすら拡散のためにフォローを増やすようにシャカリキになっていました。

しかし今回は以前と様子がちがっていました。


その違いとは一言でいえばペースでした。

フウイは自分の、しかもかなりゆったりしたペースでSNSを使うように心がけていました。


もちろん目標の島津の情報の拡散はしているのですが、よく考えてよく選んでリツイートするようになりました。

そしてその副産物も以前とは違うものとなっていました。


前はとにかく自分の知っていることや、小説を数多く発信することばかり考えていましたが、今回は情報をしいれるために多くの時間と体力と集中力をつかうことにしました。


するととても楽しいものとなり、フウイの好奇心を満たすとても幸せな時間となりました。

例えるなら、前の時はテスト前の詰込み勉強のような緊迫感と余裕のなさがありました。


でも、今は休日に自分が読みたいと思っていた本や漫画やアニメを見る感覚でSNSと向き合っていたのです。

これには実はSNSの環境の変化も大きな要因でした。


前のシャカリキフウイの時のSNSでは島津関係の情報はとても少なく、その内容もお堅いものが多かったのです。

所がフウイが復活してからは前と異なり、多くの人が島津関係のツイートをしていました。


そしてその内容も専門家のお堅い物ばかりではなく、ごく普通のファンの感想や思い、時にはBLネタやギャグもあり、より接しやすくなっていたのです。


さらに変わったことがあります。

それは難しい論争に付き合う必要や危険性が減少したことでした。

ネットで議論が起こるとフウイの場合精神力が削られる傾向がありましたが、今のまったりした姿勢の場合その確率が飛躍的に下がりました。


もう、以前のように無理をして相手に合わせたり、難しい相手に対して説得するという莫大なエネルギーを擁する手間が減少しました。


ただ、フウイは知っていました。

「今は平和でもいずれ付き合う人数は増えてくる、そうなれば以前のような論争や議論は当然増えてくるだろう」と。


それまでの間、気心の知れた人達と友好的なやり取りが出来ることにフウイは感謝することにしたのでした。

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