第185話 雍正帝といろはの「ゐ」

ゐ(い)に臥(ふ)して 寅には越くと 夕露の 身を徒(いたずら)に あらせじがため


現代語訳

昔から夜は10時に寝て、朝は4時に起きると、一般に言われてきましたが、一回限りの人生です。

限りある時間をぐうたらに過ごすことなく、自分を磨くために有効に使いたいものです。


今から約300年前、中国の統一王朝で「清」という大国がありました。

その皇帝の「雍正帝」、(ようせいてい)は勤勉な独裁者、そして名君として有名でした。


彼にはこのような記録が残っています。


雍正帝は単なる恐怖政治家ではなく、史上まれに見る勤勉な皇帝であった。

毎日夜遅くまで政務に当たり、大量の上奏文にいちいち目を通し、全て自分で硃批(中国語版)(皇帝自身による朱墨による諾否、その他の書き込み)を満洲語で書かれた上奏文なら満洲語で、漢文で書かれた上奏文なら漢文で書き込み、一日の睡眠時間は4時間に満たなかったという。


彼は文字通り寝る間も惜しんで政務に励んでいました。

彼の政治はどのようなものだったのでしょうか。


彼は民衆の手本として自ら倹約に努めている。


書き物をする時に重要なものでなければ紙を裏返して使い、地方官が手紙を皇帝に送るときに綾絹(あやぎぬ)を用いると「なぜこんな無駄なことをするのか」と言って紙を使わせた。政治の最高機関である軍機処(ぐんきしょ)の建物も、みすぼらしいバラックのようなものであった。


彼は支配階級や官僚を徹底的に管理しました。

それは、管理された方からはたまったのもではなかつたかもしれませんが、一般の庶民からは好評だったようです。


支配階級が贅沢や無駄な経費を使わなかったわけですから、恐らく税金が安くなり一般庶民はより楽な生活が出来たと思われます。

官僚に厳しいといっても、すべての人に厳しいわけではなく彼の放った密偵から良い報告を受けた官僚にはちゃんと褒賞したと記録にはあります。


また、彼は奴隷解放にも熱心に取り組んだようで、制度としての奴隷制度を解放したとも記録されています。


ちなみに私個人はこの雍正帝の小説を読んでとても好感を持っていたので彼のワーカーホリックな面と今回のいろは歌の「ゐ」(い)を紹介するのに良い機会だと思いました。


ただ、尊敬はしますし好感も持てますが、現代の時代に表立って「睡眠時間を削って働け」という訳にはいきませんので、過去の偉人、中国清の時代の三大名君の一人、内政値最高峰の皇帝としてこの雍正帝を紹介したいと思います。

政治に興味のない民衆にとっては最高の君主だったと思いますので。


また、学生時代テスト前に徹夜経験がある私が言うのもなんですが、明日をも知れぬ戦国時代の時間の概念と、長寿平和な現代日本の時間の概念では大きく異なると思いますので、読者の皆様はご自身に合ったペースでこの章の内容を咀嚼(そしゃく)していただければと思います。


とはいえ、命に限りがあるのは昔も今も変わりません。

時間をいたずらに消費しないように意識をすることは時代を超えて変わらない大切な心構えかもしれませんね。


心構えといえば、次に紹介するいろは歌は実に島津らしい特徴を表しています。

次の歌をお楽しみに。






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