第92話 国営放送と民間企業

国営放送がアニメを買い取り放映するという噂がしろのしろ市に流れた時、反応は二つに分かれました。


一つは歓迎する動きです。

なんといっても天下の国営放送が放送するのであればその宣伝効果は深夜放送の比ではないことはだれでもわかることです。


なので、そうした考えの人はもろ手で賛成しました。

もう一つは反対、それも猛反対の声が意外と大きかったのです。


それはなぜか、国営放送に移ると商品や地元のアピールが制限されるのではと心配する向きがありました。


特にかねみだけ酒造ではその動きが大きく、買い取りに反対していました。

わっしょいざえもんは買い取り賛成派でした。


そこで彼は、かねみだけ酒造の会長と差しで話をしました。

「確かに商品の宣伝ができないことは大きな損失ですが、その点はネットによる情報拡散で補えばいいのではありませんか、それに全国で放映するメリットは必ず御社に利益をもたらすと確信しています」


会長は質問という形で念を押した。「ネットでの情報拡散で補う自信はあるのか?」

わっしょいざえもんは即答します。「あります」

数十秒の沈黙ののち会長は言います。


「分かった、君を信じよう、会社のことはわしが何とかする」

こうしてわっしょいざえもんは重い宿題をもってかねみだけ酒造の会長を説得したのでした。

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