第84話 メディアの変化
地方選挙の敗北の結果デンゲル人応援派は意気消沈していました。
その中でもメディアは大きく勢力を後退させることになりました。
理由は2つあります。一つはデンゲル応援派の中にはメディア関係者が多くいたこと、もう一つは彼らの中で仲間割れが生じたことです。
連日メディアでは地方選挙でスキャンダルを起こしたひだまり派の議員を攻撃していましたが、時間が過ぎるごとに効果が薄くなり人々の記憶から忘れさられていったのです。
こうして、敵をたたくネタがなくなると今度は彼ら自身がこの敗北の責任者をつるし上げるべくかつての仲間を攻撃していきました。
なぜそうなるかというと、彼らは共通の敵がいるときには無類の結束力(チームワーク)を発揮しますが、もともと自分自身を神のように間違いのない存在と本気で考えているために、失敗があるとそれを他の者に擦り付ける傾向があったのです。
ヒキコモリーヌはテレスの慧眼(鋭い観察眼)に改めて驚きを示しました。
それに対してテレスはこのように言いました。
彼らが共食いをしている間は手出し無用、もし手を出して彼らが再び共通の敵を作り出した場合、その勢力は一気に盛り返すことになるからです。
彼女はそのことをコウメイにつたえました。
コウメイにとってもメディアがひだまり派を攻撃しなくなるのは望んでいた展開なので喜んでその提案に乗ることにしました。
さて、テレスはデンゲルの穏健派をまとめるべく奔走していました。
彼らは目立たないようにしながらも、デンゲル人がひだまりの民と和解できるように舞台を整えようとしていました。
「いま、デンゲルの急進派は勢いを失っている。彼らが仲間割れしやすいように情報を流すのだ!」テレスはデンゲルの言語、文法で檄文や流言飛語を流し続けました。
その一方で気を付けていたこともありました。
それはひだまりの民をほめたりしないことでした。
そのようなことをすれば、彼らデンゲル人は一つにまとまるはずです。
彼らもそうした負のエネルギーは恐ろしいものでしたので時にはひだまりの民の悪口を交えながら情報を流す徹底ぶりでした。
やがて、メディアで大きな変化が起きました。
今までひだまりの民を見下すデンゲル人主流に変わって、テレス達の穏健派とひだまりの民の勢力がメディアでも主導権を握ることになったのです。
ここまで順調にことが進んでいきましたが、ヒキコモリーヌは違和感を感じました。デンゲルのテレス派が慎重に事を進めていることに対してひだまりの民が浮かれているように感じたのです。
この違和感は杞憂に過ぎないのでしょうか。
その顛末は次章て明らかになります。
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