第4話 桶の狂気


夜勤から帰り、ドアの鍵を開けようとすると、中から鍵が開いた。


「足音が聞こえたので帰ってくるのが分かった。」


赤ちゃんは言った。

そして、木本は今日出会った敵のベビーシッターとの一件を報告した。


◇ 


約束の日時がきた。


突如として敵の先制攻撃。


風呂桶が飛んできた。

一瞬、理解に苦しんだが、あれは風呂桶だ。


「なぜ風呂桶が飛んできた!?」


【 木本は足を吊った。 】


「風だ。音で分かった。」


「あいつの能力は風を操作する能力なのか?」


「いや、それだけじゃない。あの風呂桶、生成してやがる…」


敵の赤ちゃんは風呂桶に入り空を飛ぶ。

敵の赤ちゃんは風呂桶を三個生成し、一つは自分が入り、二つは自分を中心として周りに浮かしている。


敵の赤ちゃんは言う。

「これで条件は整った…。」


敵の赤ちゃんは二つの風呂桶を赤ちゃんに向けて飛ばす。

それを、赤ちゃんは音でどこに飛ぶか察知し避けた。

しかし、風の能力で赤ちゃんが空へ飛ばされてしまった。

空中で攻撃を避けることはできない、風呂桶をもろにくらい木本の傍まで吹っ飛ばされる。


そして木本はある秘策にでた。


「おい、そこのベビーシッター。実は昨日売っていたミルクは一つじゃなかったんだ。」


「なに、ミルクはあれで最後のはず!それも割ったではないか!!」


「そうだ、あのミルクは確かに割った。だが俺は店長に頼んでミルクを確保してもらってたんだ。」


「うわ!ずる!!!」


主人公は赤ちゃんにミルクを渡す。


「これを使え!!」


赤ちゃんは喜んでミルクを飲み干す。


「いいミルクだ。やっぱこれだぜ…。」


【 赤ちゃんは新たな「遺伝の能力」に覚醒した。 】


「今さら能力に覚醒したところでもう遅い!!」


風呂桶を赤ちゃんに向けて飛ばす。

赤ちゃんはその風呂桶の軌道を反らして避ける。


「……!? お前いま何をした…?」


赤ちゃんは笑い声をあげて川へ向かって走る。

赤ちゃんは風呂桶を避けながら走る。

敵の赤ちゃんは赤ちゃんを風で飛ばすことにした。

赤ちゃんは川に近づいてきたところで風によって宙へ浮かぶ。

先程と同様に風呂桶が飛んでくる。


が、今回は先程と違う点があった。

赤ちゃんは風呂桶にぶつかることはなかった。


「それは…新たな遺伝の能力か…!?」


赤ちゃんは川の水で風呂桶を弾き返した。

その風呂桶をはじき返した水を使って敵の赤ちゃんを風呂桶ごと覆い尽くす。


「ぐぼぼぼぼぼぼぼぼ…」


溺れもがき苦しむ敵の赤ちゃん。


「やめてくれ!やめてくれ!俺の赤ちゃんを殺さないでくれ!!俺の知っていることを全部言う!なんでも命令してくれていい!!だから、赤ちゃんだけは!!!」


「そか、赤ちゃん、やめてくれ…もういい。」


木本に言われ赤ちゃんは呆れた顔で能力を解いた。

敵の赤ちゃんは、ずぶ濡れ状態になって河川敷の中央で風呂桶に入って泣いている。


これで、この両者の戦いは終わった。

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足釣りベビーシッター 星原 胡 @hoshiharaebisu

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