ホモって言えば皆が微笑む優しいセカイ
東雲ゆう
第1話 It's delicious world...
東雲女子学園の第3女子寮の一室で、今日も朝を迎えた。
大きく腕を高く上げ、深呼吸をする。
静謐な朝の空気が肺に行き渡ると、やはり爽やかな気持ちになる。
「ふあぁぁ……良い天気だなぁ」
眠たそうな眼を擦りながら布団から起き上がり窓をガラっと開ける。
入り込む日差しを受けながら外を眺めていた。
花壇には生い茂る樹木や、満遍なく広がった芝生は眼の保養になる。
風は木の葉を揺らし、音を奏でると爽やかな微風となって、寝ぐせ一つないこの黒髪をなびかせた。
あぁ、なんて気持ちの良い朝なんだ……。
そんな感想を呟いていると、人の気配がした。
「だ、誰ですかっ⁉」
振り向くと、いつも見慣れた人物……幼馴染の東雲衣玖がいた。
「ちょ、なんでここに……鍵はっ⁉」
「しっ、静かに……」
目覚めたばかりで頭がぼんやりしている自分に彼女は寄ってきた、もはや目の前にまで迫ってきている。
慌てて逃げようにも、後ろは窓、そして彼女には隙がない。
……油断していた。何故こんな事にはならないと思い込んでいたのか。
捕らえられた獣のようにふるふると小刻みに身体を揺らす。
朝日が届かぬ部屋の片隅で二人は身体を寄せ合い肌と肌を重ねていた。
そして誰もいない、二人だけのセカイで。
誰にも言えない、二人だけの秘め事が、今日も始まるのだ。
◆◆◆◆
「こら、渚……ジッとして、動かないで……」
「んんっ……そんな事言われても……」
緊張しているせいか身体が硬く、ピクリとも動かない。
頬は紅潮していてとても身体が熱い、頭から蒸気が出そうだった。
肩は上がりっぱなしで握られたままの手は膝の定位置を崩さない。
強張って眉をひそめていると、彼女はそっと肩に手を置き体勢を整える。
そして、じぃーっと顔を覗き込むように凝視していた。
見開かれた大きな瞳に長い睫毛、二重のラインがくっきり浮かんでいてとても魅力的である。彼女の顔が近くて反射的に目を閉じ、呼吸を止めてしまった。
こんな経験は初めてだ。
自分の息は匂わないだろうか、変な顔をしていないだろうか、幻滅されないだろうか……と、そんな事ばかり考えている。
そんな彼女が口を開いた
「渚の顔、小さくて可愛いね」
「そんな事ない……ですっ……、衣玖さんに比べたら……」
もはや隠すものなど何もない。
全てをさらけ出してしまえばいいと思うものの、気恥ずかしさが先行してしまう。
そして彼女は称賛し続けるも、こなれた手付きは止まらない。
「食べちゃいたいくらい白くて薄い肌ね、これは誰もが放っておかないわ。それに細くて整った身体のラインなんかとても素敵よ、お腹のくびれだって羨ましいわ……」
じゅるりと女豹のごとく、舌なめずりをする。
肩に置かれていた手はするすると首元を抜けて、頬にやってきた。
しっとりと吸い付くような柔らかい手が顔に触れている。これだけでも十分に恥ずかしい。
「ねぇ、もしかしてちょっと期待してる?」
「そんなこと……ないですっ……!」
「でも身体は正直なようね……?」
底意地の悪い問いかけをしてくるも、涙目で訴える顔には力がない。
しかし我慢の限界だったのか、とうとう痺れを切らし切なげに彼女に投げかける。
「あの、痛くしないで……優しく、して……?」
我慢しきれずにそう呟いてしまう。
それを優しく諭すように彼女は耳元で囁いた。
「待ってね、今すぐあなたを女の子にしてあげるから……」
すると彼女は口周りほどの硬くて細長い棒を花唇に押し当てた。
カサついた割れ目にぴったりと張り付き、温もりと潤いを与える。そして、ラインに沿ってなぞっていく、これがゾクゾクするのだ。
「むぐ……んんっ……っ!」
「我慢しなくていいのよ?」
白く輝く細腕からは甘美な匂いを放っていて、鼻を刺激する。
悔しいくらいに心地良かった。
その淵はもう潤みつくしている。下まで滴るほどの蜜ではないが、熱いバターが溶けて溜まったような沼をとろりと形成している。
「顔を紅くしちゃって、そんなに恥ずかしかったのね……」
「ぷはぁっ……く、苦しかった……」
言い返す暇もなく溜めた息を外に出した。
しかし、彼女は時計を見るなり急かしてくる。
「じゃあ次はココね……」
すると彼女は自分の一物を誇示するように動かし始める。
その尖端は吸い込まれるように、目的地を探り当てて一気に柔肌に押し入ってきた。
ずぷぷぷ……。
「ひゃう——」
思わず小さな悲鳴を放ってしまった。変な子だと思われていないだろうか。
「あら、可愛い声を出すのね。まだもっと続けていいかしら……」
可憐な表情はやがて、熱をたたえた沼のようなぬかるみに変貌し、衣玖の指はその潤いをかき回すように動いた。
「そんなぁっ……は、早く、してください……」
とても慣れているのだろう。
しきりに訴えても、余裕を絶やさずにこちらをじっくりと観察している。
それは嗜虐的な笑みだった。
小刻みに震える仕草は、彼女の至福を満たす良い材料のようだった。
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