第64話 デートと中年


「……しまったな」


「そう? 可愛かったわよ」


 ホテルに着くと、外に出るのも億劫になり、ホテルで食事をとることに。

 久しぶりにワインなんて飲んでしまって。

 

 ……酔いは怖いなぁ。


「さて、今日も頑張るわよ?」

「……はい」


 今日は朝からダンジョンに潜って扉で帰る。

 十五層のシェルフラワーからスタート。


 ドラゴンガントレットを装備して。


 1コンボ、2コンボ、3、4、……10コンボ!

 アッパーで高く打上げ決めたが、

「もういっちょ!」

 と追撃開始、上空で蹴り上げ、茎部分にファイヤーアローを撃ち込み。


「あ、オーバーキルか」

 コンボが楽しくて、攻撃してる間に煙になってしまった。


「あったよー!」

 おぉ、ドロップ確認がお早い事で。


「2回目でレアドロップ出たなら良かったよ」

 確認するとシェルジュエルとシェルクリーム、とことん女向けのダンジョンだが、難易度は高いな。


「ワンモア?」

「また今度な」

 別に扉があるんだからいつでも来れるしな。


 十六層についたが花畑は続く。

 ここはそんなにデカくないがフローラルバタフライとホワイティキャタピラ。


 美羽を見ると、

「ここのレアドロの情報はなかったかんだよね」


 虫は嫌いなんだが。

 って事で魔法の出番、美羽も一緒に魔法で倒していく。


 手で触りたくないもん。


 フローラルバタフライは、

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

ストローランス

フローラルチーク


レアドロはフローラルパフューム

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


ホワイティキャタピラは、

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

ホワイティキャタピラの外皮

純白の糸


レアドロは美白ローション

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 虫から出来てる化粧品? なかなか俺には使う勇気がないが……女は凄いな。


十七層。

 現在の最下層だな。

 てか、花畑には似合わないクレイマン、俺にも分かったぞ、お前は泥パックだ!


 と火炎魔法で水分飛ばして直ぐ倒す。


 クレイマンのドロップは、

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

泥(石などと混ぜるとコンクリートより硬く軽くなる)

土玉(栄養素が豊富で土壌改善に効果的)


 園芸とかと思いきやレアドロが、

泥パック(瓶入り)

スキルスクロール(泥化)

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


 でたよ泥パック、それなりに倒したから、数はとれたな。

 泥と土玉は、林さんとお父さんに上げよう。


 十八層。


 未到達階層だが、


「美羽さん? あれはなんだい?」

「さ、さぁ? 黒光りしてるマッチョ?」


 鑑定。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

グレートインストラクター ランクC

レベル80

筋肉を愛し、筋肉に愛された漢の中の漢の娘。Gの進化個体。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


「……ん、ノオォォォオォオ!」

「ど、どうしたのよ?」


 一心不乱に魔法を撃って、殲滅だ!


 なんだよ! Gかよ! 意味不明で怖いんだよ! 最後の娘って!


 ゴツくて速くて、鳥肌がすげぇんだよ!


「はぁ……はぁ……」

「……何がどうしたの?」


「あれはGだ。台所にいるのとは次元が違うぞ……帰ろうか」

 一刻も早くここから出たい。


「ドロップは何かな? けっこう倒してたからレアドロップあるんじゃない?」


 ……嫌だけど、見るしかないか。


 拾いながら鑑定していくと、早くもレアドロップ。


ドロップは、

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

Gの油(筋肉を魅せる際に使用)


レアドロは、

痩せるレッグウォーマー

痩せるアームウォーマー

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 な、なんて主婦層をときめかせるレアドロップなんだ。


「これはなんだったの?」


「……呪われるから、早くここから出ない?」


「なんだったの?」


 笑顔が怖い、

「ふふっ、旦那ぁ、ゲロっちまいなよ?」

 フグッ……笑顔が、



 俺は追い込まれてゲロっちまった、弱い男だ。



 1ムキムキ見たら、100ムキムキいると思え!


「よるなアァァァァ」

 と火炎魔法を放ち地獄絵図を作り出した。


 結果、

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

大量のGの油

G印のダンベル、プッシュアップバー、トレーニングダンパー、


レアドロップは、レッグ・アーム以外に。


痩せる美顔器

痩せる背面シート

痩せる腹巻

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 筋トレグッズが出たのも驚きだが、レアドロの種類が多すぎだろ。


 ていうか、レアドロ使わなくても、

「……俺は痩せた気がするよ」

「お疲れ様、私が使って痩せるわね!」


「……さいですか」



十九層。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

光地蔵 ランクB レベル90

光を放ち相手を焼き尽くす、自分からは動けない。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


 こらまずいな、

「美羽は階段に隠れてて! ランクB、レベル90だから」

 気配探知に反応があったから、探ってみれば高レベルの敵、しかも地蔵ってバチあたりだろ。


「分かった、無理しないで! 無理だったら帰ろう!」


「りょーかい!」


 “ゴッ!”


 ステータスを解除して、地蔵の背後から拳を放つ! が硬え。


「うおっ! あっぶねぇ地蔵だな!」

 頭が回って額のボッチから鑑定であったように光線を出してくる。


 頭だけ回るなんて、ほんとどうかしてるわ!


 逃げながら考えてたが、トロールの持ってた肩盾なら行けないかな?

 もう一度背後に回って盾で殴ると簡単に壊れた。


「楽勝……でもないか」


 肩盾も凹んでいる、オリハルコン10%でもあまりもたないな。


 ミスリルソードを出して火炎魔法を込めてみる。


「おぉっ! 燃える剣っ! って感動くらいさせてくれよ?」


 光線を避ける。


 周りにはまだ地蔵が五体、てか花畑に地蔵がチラホラあると、流石にあの世を連想しちゃうだろ。


 地蔵は動けないし、首が回る速度も俺よりは遅い。

 背後に回って斬ると、スッパリ斬れた。


「あとは剣がもってくれればいいけど」


 目のはいる地蔵を、走って斬りまくる。最後にはミスリルソードが折れてしまったが、なんとか見える範囲は片付けられた。


ドロップは、

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

合成石(魔鉄10 ミスリル40 アダマンタイト50)


レアドロは、

スキルスクロール(光線)

光美容脱毛器

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


 アダマンタイトは嬉しいがまた美容器……


 合成石は重いし、あれだけ倒して脱毛器が2個とけっこうしぶいな。

 スキルスクロールは、やはり使えると思えないし、使いたくはないな。


 二十層。

 こいつぁ、ヤベェのがきた。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

ゴブリンクイン ランクB

レベル50

美を愛するあまり男の娘に変異進化したゴブリン、男を虜にする魅了を使う。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


 お姫様の様な格好をしたゴブリン。


ゴブッあら……ゴブゴブ?坊や、どうしたの? ……ゴブブこっちにいらっしゃい

 と妖艶に足を組み替えて俺を誘う。


「あぁ。なんて、綺麗なんだ……ってバカが!」

 ともう一本のミスリルソードをだして首を斬った。


「びっくりした! カズトがゴブリンに持ってかれるかと思ったよ」

 と泣きそうになってる。


「なるか! ゴブリンだぞ! あんなんに惑わされてたまるか!」

 悪ノリしてしまったが、あれはない!


 2人でドロップを確認すると、スキルスクロール(魅了)、ゴブリンクインの魔晶石があった。


 美羽が予想するには、レアドロはヘアアイロンではないかと……正直どうでもいいかな。


宝箱は、

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

金貨 5枚

ゴールドシェルの真珠のネックレス

才覚の指輪

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 ととても豪華だった。


 これで満足したのか、

「帰ろっか?」

 美羽が抱きついてくるので、

「そうだな」

 とキスをしてダンジョンを出る。


 久しぶりに二人きりでの外出がダンジョンだったが、美羽も満足そうなので良かった。



 この後、美羽が受付メイドとバトって、若干引いたのは……内緒だ。


 

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