第63話 レアドロと中年

 バンシーの背後に周り、

「ごめんね!」

 と首を一太刀で落とし煙に帰す。


 ドロップは、

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

媚薬の香水

シワ取りクリーム

美顔ローラー

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


 え? こんな現代的な物がドロップ?


 美羽が走ってきて、ドロップを確認する。


「やった、レアドロのシワ取りクリーム!」

 シワ取りクリームって、若返ったばっかりだろ?


「美羽、こんなんドロップすんの?」


「そだよ、ネットでも高いんだから! カズト運がいいんだからここ回るよ」

 ネット情報は侮れないなぁ、それにしても。


「一個で十分だろ? 必要な分だけにしなさい」

 まぁ、ただで手に入るのなら欲しくなるのも分かるが、必要以上に取るのはどうかな。


「えー、カズトが倒せばレアドロの確率上がるのにぃ」


「美羽は今のままで十分だよ」

 5年後の美羽も可愛い嫁さんだったからな。


「え、う、……うん。でも下の階層に行くまでに出てくるのはカズトが倒して?」


「わかったよ、それはしょうがないからな」


「……ありがとう」

 頭を撫で、ダンジョン探索に戻る。


「よかったな、スキルスクロールもあるぞ」


「カズトが解析して年齢詐称って出たんでしょう? いらない!」

 まぁいらないな、なんに使うんだよ。


 結局、シワ取りクリームは五個取れて、十二層へ。


 今度は妖精のようだが、女の子の遊ぶ人形の眉毛が無くて、羽根が生えたような姿でかなり不気味だ。

 って最初は舐めてたが、コイツら刃物隠して殺しに来やがる。 


 ドロップは妖精の羽根とデザートナイフ、レアドロでスキルスクロールの(詐欺)と眉描き。

 詐欺って、見た目に騙されるなってことか? 不気味じゃなければ油断してたとは思うけど。


 十三層はラフレシア。

 デカくて気持ちの悪い花だが、倒せと美羽がいう。

 聞くとレアドロで香水が手に入るとのこと、まぁ、一個は取ってやるか。


 美羽は、欲しかった香水が取れて、ご満悦だ。


 ラフレシアの花びら、フラワーリング、魔法の香水がドロップらしく、レアドロは魔性の香水らしい、どーすんだよ。


 ちなみにフラワーリングは真ん中が開いて香水を垂らすことが出来るらしい。


 東京ダンジョンは女性をターゲットにしてるのか?


 十四層。

 ビッグサンフラワー、とにかくデカイ。

 避けて通ろうとしたが、美羽に止められ倒せと。

 一応聞いてみるが種の油が肌にいいらしい。


 デカイうえにタフなモンスターで、美羽と連携して、倒すがドロップはサンフラワーの種とサンフラワーウィップ。

 レアドロが出てないらしい。


 まぁレベル上げもかねて、美羽と二人で探索。


 三体目でレアドロゲットして、美肌油をゲットした。


 次で十五層。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

シェルフラワー

ランクC レベル50

花びらが貝殻のようで、高い硬度をもつ、表面は鏡の様になっており、魔法攻撃を反射する。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


 美羽には少し早いな。……だが本人はやる気らしい。


「カズト! がんばろー!」

「……おぉ」


 コイツが落とすレアドロにシェルクリームがあって全身に使えるらしい。


「美羽、茎の方を狙えるか?」


「うん、スライムで練習してたからアロー系でもいけるよ!」


「ならよし! んじゃ隙を見て攻撃、他に当てると反射されるから気をつけてな!」


「うぇ? そんなの無理ぃー」


「んじゃ、しょうがないな」

 俺は飛び出して攻撃を仕掛ける。


 ガイィンッ!!


「かったいなぁ、これでも使ってみるか」

 ちょい離れて、愛媛ダンジョンでゲットしたドラゴンガントレットに武器を変えてみる。


「おっらぁー!」

 ガードされるが、押しきれるな!


 ドッ、ドッドッ!


 美羽が敵の背後からファイヤーアローを撃ったようで、茎の部分から燃えている。


「撃つなら言ってくれよ。外れたら俺に当たるだろ?」


「ちゃんと狙ったし、気付いてたカズトなら避けれるでしょ? 現に離れてるじゃない」

 まぁ、気付いてたから避けたけど。


「いや、それとこれとは」

「次からはちゃんと言うね。あ、カズトが止め刺してよ?」


「……はいよ」

 と最後に連打をかまして、倒す。


 ドロップは、

 シェルジュエル、フラワージュエル、がドロップし、クリームは明日もう一度挑戦する事にした。


 東京ギルドで要らないドロップ品を売却。


「レアドロップは出なかったですかー? よかったらぁー」

「出ませんでしたぁ! 出ててもあげません!」

「むぅ……そこのお兄さんと喋ってるんですぅ!」

「ざーんねん! 私の夫ですぅー!」

 とメイド服の受付とバトル美羽。


 いいから早くここから離れたいんだが。

 ゴチャゴチャしていて落ち着かない。


 ギルドから出ると、もう日も傾いてビルも赤く染まっている。


「二人で夕暮れを歩くってのも久しぶりだな」

 手を繋いでゆっくりと歩く。


「そうね、でも車道側を歩くのは変わらないのね」

「ん? そういうもんだろ?」


「いいのよ、ご飯にいきましょ! あ、先にホテルにチェックインしないと」

「帰るんじゃないのか?」


「たまにはいいでしょ? 冒険者用にけっこう豪華なホテルがあるのよ」

 たまにはいいな!


「そうだな! 夫婦で宿泊なんていつぶりだ?」


「カズトの昇進祝いに温泉旅館に行ったのが最後かな」

 ……そんな前だったか。


「暇があればちょくちょく行こうか!」


「だーめ! カズトにはカズトのやる事があるんでしょ? たまぁーに私を甘やかしてくれればいいの! たまぁにね」


「……おぅ、任せとけ!」

 いい嫁だな。

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