Ⅱ 南極古代都市『アトランティス』編

Prologue

 ――星の導きは指し示す。(『黒葬』社長 星鳥院闇十郎の『お導き』より抜粋)


 南極大陸。大陸中央部。

 南極研究チームに所属する男は絶句した。


「なんだこりゃ……」


 南極の氷は分厚く数キロにも及ぶ。

 故に、その下が透けることなどない。

 そして、もし透けたとしても、こんなもの・・・・・が見えるはずない。


「……大発見だ、歴史が変わるぞ……。こんなもん……」


 男の立つ氷の直下に透けて見えるそれは、明らかに人の手によって作られた建造物だった。

 一つではない。

 透けて見えた部分だけでも数十の建造物が立ち並ぶ。


 ――最南の地にて、失われた世界が目を覚ます。


 そこには古代都市が広がっていた。


 ◆


「――『UE』を観測!」


 『黒葬』本社。


「観測史上最大クラスです……っ!」


「?! 発生地点は?」


「南極です!!」


 指令部に衝撃が走る。

 『演算装置ハイド』が『UE』の観測をしているのは日本のみだ。

 そもそも日本以外では『UE』の発生、『超現象保持者ホルダー』の出生はそうそう起きない。故に日本に的を絞り、『UE』観測の精度を上げているのだ。

 今回南極の『UE』を捕捉できた理由は、ヤマ・・を張っていたからである。


「やはり、予言の『最南の地』は南極だったのね……」


 日本内の観測能力に影響がない程度のリソースを割き、南極の『UE』を感知できる状況をあらかじめ作っておいたのだ。


「――速報! 南極の氷床下に超巨大建造物が出現したとのことです!!」


 日本の外で、それも莫大な『UE』の検知。


「現象課へ連絡急いで!」


 なにもかもが前代未聞の事態であった。


「南極に出現した超巨大建造物群を『アトランティス』と呼称する」


 ――そこで得るものは今後の組織をより強靭にするであろう。

 ――しかし、油断してはならない。

 ――凶刃はいともたやすく臓腑を切り裂く。

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