第44話
それにどういう訳か今上帝様は、余りそちらの方にご興味が薄く、仕える女房も女官もなかなかの器量良しが揃っているにも関わらず、お年頃であるはずなのにお手をお付けになられる事も無い。
確かに占う処、今上帝様も上皇様同様に、親王様内親王様のお数は多くないと出ている……出てはいるが、全くできぬわけではないし、皇后様との間に親王様はご誕生の卦が出ている……。
……待てよ!皇后様以外の后妃様はあり得ぬのか???
ただ時期が来ぬだけか?ならばどちらの時期なのだ?皇后様に、大人の御印がお有りになられたが、まだ今上帝様をお迎えするに早いのか?……
こんな事をここ毎日の様に、繰り返しては思い倦ねている。
摂政様にこれ以上の力を、お付けになられたくない皇太后様からは、暫くの間儀式を先延ばしする様仰せ付かるし、摂政様は早く孫の親王様をお望みだし……。
……全く、これ以上の栄華とは、どんな栄華だ?……
などと頭を痛めている。
そこへ持って来て、今上帝様は儀式の進行は快くお思いではない……。
……だったらこの際御自ら皇后様を、ご寝所にお招き下さればいいのに……
などと愚痴るが今上帝様は、フェルモンむんむんの女房達にすら、その気が起きないお方だから、まだ幼く青い果実の皇后様をお召しになる希望は薄い。
トットとくっ付けるには、儀式という大義名分を持った物を盾にするのが手っ取り早いのだが、これを出すと今上帝様が拒否を起こして、体調不良を訴えられるのだから厄介だ。
……全くめんどくさい……
琴晴は心底そう思っている。
誰が誰を好きでくっ付こうと、そんな事を政治に持って来る方が間違いだ。
自由奔放な自由恋愛のこの治世に、なんたる事だろうと思う。
数多の貴族達は、毎日のように恋文を
心中で怒号したとて詮無い事だ。知っているがせずにはいられない。
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